脱炭素社会の実現に向けたLCA規制と主要自動車各社の取り組み
世界の気温上昇を産業革命前の2度未満、1.5度に抑制することを目指すParis協定目標の実現のためには、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする必要があると言われています。欧州は2050年カーボンニュートラル化に向けた取り組みをいち早く成長戦略化しています。日本政府も2050年までの脱炭素社会の実現を方針化しつつあります。米国も新政権発足後にParis協定への復帰が予想されており、カーボンフリー化への試みがグローバルに広がりつつあります。
世界的な燃費規制の強化に伴い、自動車の電動化が求められます。EV化により車両からのCO2排出量を抑制あるいはゼロにすることが可能な一方で、EVに搭載するバッテリーの製造で多くのCO2が発生します。火力発電が主体の国では、EVシフトがCO2ニュートラル化の流れに逆行することになりかねません。
2050年カーボンニュートラル化に向けて、原材料の調達、車両や部品の製造、製品の流通と消費、廃棄やリサイクルまでの、ライフサイクル全体におけるCO2排出抑制が重要となります。欧州や日本は、燃費規制にライフサイクルアセスメントを反映させる方向性です。
本報告は、自動車のライフサイクルアセスメントと、日米欧中のカーボンニュートラル化を目標とする政策及び戦略の方向性がテーマです。ライフサイクルCO2削減に向けBEVを最重要視する欧州、エネルギーミックス状況から急速なBEV化に慎重な日本など、国ごとに異なる政策、戦略を分析しつつ、欧州や日本が注目するeFuel、水素への取り組みもカバーします。電動車バッテリーや原材料のリサイクルにも焦点を当てます。自動車のLCA、カーボンニュートラル化に関する情報収集のツールとして、本報告書を是非ご活用頂けますようお願い申し上げます。
▼1章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 序章 |
|
気候変動抑制に向けた取り組みとカーボンニュートラル化目標
|
・ | Paris協定目標の概要、国連SDGs目標の概要 |
・ | 各国の環境戦略の比較 : グリーン成長戦略、電動車、燃料、エネルギー、カーボンプライシングやCO2排出権取引、3R* 推進など |
・ | 自動車LCAの概要 |
・ | 欧米日の主要自動車メーカー各社のカーボンニュートラル化目標の比較 |
▲序章へ / ▼2章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第1章 |
|
自動車ライフサイクルアセスメント規制の方向性
|
・ | LCAベースの燃費規制導入に向けた議論(欧州や日本) |
・ | ライフサイクルCO2削減に向けた包括的な取り組みと課題 |
・ | バッテリー、原材料** のリサイクルに関する取り組みや目標値 |
▲1章へ / ▼3章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第2章 |
|
日米欧中のカーボンニュートラル化戦略の狙い
|
・ 欧州 : | BEVへのシフトを加速、再生可能エネルギー活用や3R* 推進、Eフューエルや水素にも注目 |
・ 日本 : | HEVからZEVへの持続可能なシフト、FCEVと水素社会実現に向けた取り組み、Eフューエルにも注目 |
・ 米国 : | Paris協定復帰、カーボンニュートラル化推進への転換と環境技術競争力強化に向けた取り組み |
・ 中国 : | NEV化に加えHEV化も推進、再生可能エネルギー戦略、FCEVにも注目 |
▲2章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第3章 |
|
主要自動車メーカーのサステナビリティ戦略
|
・ | VW、Daimler、BMW、Renault、GM、Ford、トヨタ、ホンダや日産のサステナビリティ戦略 : |
- | ライフサイクルCO2抑制やカーボンニュートラル化の目標 |
- | 電動車目標、技術開発戦略 |
- | サプライチェーン戦略 |
- | 製造や事業活動全般における環境負荷低減への取り組み |
- | バッテリー、原材料** 調達・使用におけるカーボンニュートラル化、3R* |
- | その他:物流におけるカーボンニュートラル化、自然保護活動によるCO2排出の補填など |
注) | 政策分析は欧州(EU)、日本、米国、中国が対象。LCA規制を含め、各国政府の政策、戦略の将来的な方向性を予測して報告。 *3R : Reduce、Reuse、Recycle **バッテリーの材料となる希少金属、車両の内外装向けなどの樹脂、アルミなどの原材料。 |