表紙画像、中央の写真以外は経済産業省発表ニュースリリース(https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181220007/20181220007.html)掲載のイメージ画像を加工してFOURIN作成。
社会課題解決に向け官民挙げて空の移動革命を本格化
空飛ぶクルマで現在、主流となる垂直離着陸機(VTOL)は、1980年代にカナダのPaul Sandner Mollerが初めて開発に着手したといわれます。直近での「空飛ぶクルマ」は、必ずしも空陸両用車を意味しておらず、クルマのように気軽に移動できる可能性を持つエアモビリティ全般が空飛ぶクルマと呼ばれています。2010年代に開発が本格化し、2010年代後半から2020年代にかけて、空飛ぶクルマ(本書ではeVTOLとほぼ同義として使用)の事業化計画が具体化し、実用化への現実味が増しています。背景には自動車産業におけるCASEの急速な進展があり、空飛ぶクルマに必要な電池やモーターの性能、センサー技術や制御技術を含む自動化技術が向上したことで、空飛ぶクルマを実現するための技術的な要因が整いつつあります。また空飛ぶクルマに対する市場ニーズも、世界的に増加しています。世界規模で都市化による渋滞問題が深刻化し、日本では年間38.1億時間の渋滞による損失があり、経済損失は12兆円という国土交通省による試算もあります。更に日本では渋滞問題よりも過疎化や高齢化、ドライバー不足といった問題が深刻で、東日本大震災などを経験したことで自然災害への対応のニーズも高まっています。こうした環境面からのニーズと、これを解決するための技術力が整いつつあることで、空飛ぶクルマの実用化への取り組みは世界規模で本格化しています。加えて、2018年に米国Uberが空飛ぶクルマの具体的な市場見通しや料金見通しについて数値を示したことも、空飛ぶクルマの事業進展に寄与したと言えます。現在では世界各国の多くの機体メーカーが具体的な市場投入時期や機体価格などを公表するようになり、これにより機体向けに素材や部品を納入したいと考えるサプライヤーや、空飛ぶクルマを使用したビジネスを立ち上げたいと考える事業者が具体的な事業計画を立て易い環境になっています。その結果、空飛ぶクルマ向けに事業参入する企業は年々増加しています。
空飛ぶクルマの産業形成は社会課題の解決という観点だけでなく、自動車産業にも大きなメリットをもたらします。コストと性能のバランスが強く求められる自動車産業では採用が広がらなかった高機能の素材や部品が、空飛ぶクルマでは採用されるケースが多く見られ、そうした素材や部品がコスト競争力を伴った形で自動車産業に再注目され採用されることも期待されます。また電動化ニーズの高まりから自動車業界では脱エンジンの動きが見られる中で、ドローンや空飛ぶクルマでは当面の現実解としてエンジンを搭載する動きもあります。人を運ぶ空飛ぶクルマの普及に先駆け、人手不足への対応や過酷な環境での作業への需要から、今後産業用ドローンは爆発的に普及していく可能性があり、こうしたエアモビリティがエンジンの一大用途となることで、エンジン産業が再び活性化するといったことも期待されます。
本書「空飛ぶクルマの国内開発最前線と普及戦略」は、日本を中心に空飛ぶクルマの開発状況と市場見通し、事業性等について、世界との比較を交えながら調査・分析しております。機体関連の製造・開発に係る企業から、運航/サービスに関わる企業、離着陸などインフラに係る企業121社の動向をまとめるとともに、これを後押しする国や自治体の取り組みについて、キーパーソンへのインタビューを交えながらレポートいたします。
本レポートが空の移動革命に関わる方々や、エアモビリティ産業への参入を検討する方々の事業の一助となることを祈念いたします。
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![]() 第1章 |
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空飛ぶクルマの背景と事業性
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◇空飛ぶクルマのコスト | : | 機体価格は現状で数千万円程度、将来は高級車並みとなる可能性も |
◇空飛ぶクルマの市場規模 | : | 2040年には自動車産業の数分の1規模との予測も |
◇ | MaaS議論の延長線上に空と陸の移動最適化が浮上 |
◇ | 「空の移動革命に向けた官民協議会」が空飛ぶクルマの制度整備や社会受容性醸成に |
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◇ドローン利活用 | : | 全都道府県で実施または検討 |
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![]() 第2章 |
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空飛ぶクルマの必要機能とステークホルダー
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◇「機体」、「運航/サービス」、「離着陸」が必要機能 |
◇空飛ぶクルマの定義 | : | 「電動」、「自動」、「垂直離着陸」が暫定的な定義として浸透 |
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◇SkyDrive(ヒアリング) | : | 2人乗り機体を開発中、日本を拠点に開発・生産・事業化に取り組む |
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◇エアロファシリティー(ヒアリング) | : | 新たな建築物には将来のVポート設置を想定した設計を盛り込むべきと提言 |
◇経済産業省 産業機械課 | : | 「ニーズとセットで空飛ぶクルマを社会実装していくことが重要」 |
◇福島県 商工労働部 | : | 空飛ぶクルマの開発に対し福島RTFを通じて支援、機体メーカーと県内企業のマッチングに取り組む |
◇福島ロボットテストフィールド(ヒアリング) | : | 「陸海空ロボットのナショナルセンター化と面的な復興拠点化を目指す」 |
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![]() 第3章 |
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空飛ぶクルマ事業に参画する日本企業の取り組み動向
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◇素材・部品メーカー他 | : | コスト観点で自動車に採用されなかった素材・製品が空飛ぶクルマ向けで採用拡大する期待強まる、量産よりも性能重視のためベンチャーにも勝機 |
【 直近で空飛ぶクルマに関連した取り組みが見られた日本企業の概要と主な動向 】 | ||
・機体関連 | ||
eVTOL ジャパン、川崎重工業、SkyDrive、SUBARU(スバル)、テトラ・アビエーション、トヨタ、PRODRONE、ホンダ |
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・部品・素材・設備関連 | ||
アイシン、愛知製鋼、青山製作所、アスター、アソビバ、イナック、ヴィッツ、UCHIDA、ウラノ、キグチテクニクス、小糸製作所、三栄工業、ジーエス・ユアサ コーポレーション、ジェイテクト、JVC ケンウッド、ジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン(JSSJ)、新電元工業、新報国製鉄、スーパーレジン工業、スカイワード・オブ・モビリティーズ、タイコエレクトロニクスジャパン、大同特殊鋼、ダイハツ工業、大豊工業、高津製作所、多摩冶金、中部技研、都築電気、TDK、帝人、デンソー、東芝、東成エレクトロビーム、東レ、豊田合成、トヨタ自動車九州、トヨタ自動車東日本、豊田自動織機、トヨタ車体、豊田中央研究所、トヨタ紡織、日本精工、日本電気(NEC)、日本電産、日本ナショナルインスツルメンツ、ノースガラス、パナソニック、浜静トレーディング、原田車両設計、日立製作所、日野、HILLTOP、富士通、双葉電子工業、ブルーストーンリンクアンドサークル、ベリサーブ、北東電機、MathWorks Japan、マゼランシステムズジャパン、ミズノ、ミヤ電子、明和eテック、矢崎総業、矢作産業、UACJ、吉増製作所、ローデ・シュワルツ・ジャパン、ローム |
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・運航/サービス関連 | ||
AirX、エアモビリティ、ANA ホールディングス、住友商事、大日本印刷、テラドローン、日本航空(JAL)、日本郵政キャピタル、バンダイナムコホールディングス、マルコオ・ポーロ化工、丸紅、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、ヤマトホールディングス |
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・インフラ/離着陸関連 | ||
エアロファシリティー、ENEOS イノベーションパートナーズ、長大 |
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・その他 | ||
アスタミューゼ、渥美坂井法律事務所・外国法共同事業、ARROW MARK、AR アドバンストテクノロジ(ARI)、SMFL レンタル、NTP ホールディングス、コウメイ、goen°、16bit、ジュピターコーポレーション、ショウホウテック、スズヒロフォークリフト、ソニーピーシーエル、太陽建機レンタル、ChatWork、中央電気工事、D-WEBER、東亜製作所、東京海上日動火災保険、トヨコー、豊田通商、トヨタホーム、ナカハタ、ハーベス、ベンハウス、ボーダー・アンド・ポーター、マホリ、ラブノーツ、ローランド・ベルガー(日本法人) |
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![]() 付録 |
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特別付録 |
・ | 本書の内容の一部を抜粋した資料集(PowerPoint形式) |
・ | 都道府県別自治体による空飛ぶクルマとドローンにおける主な利活用戦略の一覧表(Excel形式)と内容(一部PDF資料有。Excelファイルから各リンクで表示可能)を取得可能。 |