自動車産業を取り巻く環境は大きな変革の波のなかにあり、新たな法整備やルール作り、政策策定の動きは今後さらに活発化する状況です。
気候変動問題では温室効果ガス(GHG)削減の要求が強まる一方で、大気汚染問題を理由に、引き続きNOxやPMなどの排出ガスの低減が求められており、リアルワールドにおける有害物質の排出抑制に向けて法規制の策定・導入が進んでいます。米中間の覇権争いも世界全体に影響する重大なテーマで、貿易・通商政策の対立が深まっているだけでなく、技術競争、サプライチェーンの再編などにつながっています。コネクテッドや自動運転といった自動車に新たな付加価値を与える領域では、各国・地域間で法令作りが進んでおり、主導権争いが激しさを増しています。新型コロナウイルスのパンデミックを機に広がっているDX(デジタルトランスフォーメーション)も社会のあり方を変える力を持っていることから社会や企業がその恩恵を受けられる仕組み作りの必要も出てくるでしょう。
「FOURIN世界自動車法政策月報」では、気候政策・環境規制、安全規制、自動運転等の基準化・標準化、自動車税制、投資制度、貿易・通商、経済安全保障などに関わる最新動向を毎月お届けします。創刊から5年を迎えるなか、独自の視点で掘り下げたレポートを提供いたします。是非ともご活用ください。
最新号の目次を御案内します。
「FOURIN 世界自動車法政策調査月報」の構成をご案内します。
FOURIN 世界自動車法政策調査月報の特長
FOURIN 世界自動車法政策調査月報の構成
「視点」:毎号1本(各号1ページ)掲載
「特集」:世界の自動車関連法規・政策動向を1~3本(各4~12頁程度)
「定常レポート」:毎号7~10本(各1~6頁)
短信:毎号8~10頁程度
FOURIN 世界自動車法政策調査月報 2024年5月号 (No.80) | ||
特集 | ||
インドEV政策 |
インド政府が乗用車のBEVの将来的な国内生産を前提に完成車の輸入関税を優遇する新たなスキームを発表した。完成車の輸入を極力排除したいインド政府は乗用車に70~100%の高い関税を課してきた。今回発表されたスキームは、条件を満たす自動車メーカーに投資内容に応じて年間8,000台を上限に5年間限定で、15%の関税率で輸入することを認めるという制度。5億ドル以上を投資し、現地付加価値を3年以内に25%、5年以内に50%に引き上げることなどが条件だが、Tesla、VinFast、Fordやその他中国系、欧州系などがスキームに参加する可能性があり、2020年代後半には乗用車BEVの生産拠点が一気に立ち上がる見込みである。
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短信 | ||
中国 |
FOURIN 世界自動車法政策調査月報 2024年4月号 (No.79) | ||
視点 | ||
Euro NCAP |
中国BYDが、「鬼門」の米国市場進出を視野にメキシコ工場建設を計画していると伝えられた。通商法第301条に基づき、中国製車両には追加関税(25%)を課されるが、米国メキシコカナダ協定(USMCA)に加盟するメキシコで生産した車両であれば、これを回避できるためである。このようなわかりやすいルートを米国が塞ごうとするのは自然な成り行きで、新たな関税負荷の議論も進んでいる。しかし、301条関税を賦課しても中国製車両の輸入が減少したという事実はなく、制裁措置の効果が疑問視される。米国大統領選を控えるなかでも民主党共和党とも対中強硬路線では一枚岩のように見えるが、制裁がもたらす効果は十分に検証するべきだろう。
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PFAS規制 |
EUの欧州化学物質庁(ECHA)が2023年に発表した有機フッ素化合物(PFAS)の規制案は、PFAS全般のEU域内での生産・販売の禁止を目指すものである。PFASはオゾン層破壊物質である特定フロンの代替物質として幅広く利用されているが、一部物質が人体への有害性や高い温室効果を持つことが、近年問題視されている。有害性が立証されたのは一部であるにもかかわらず、「疑わしい」というだけで品質や性能が優れコスト競争力の高いPFASを一律に禁止するとしたら、自動車産業にも社会生活全般にも多大な影響をきたす。広い視野で規制の不利益を見極めた政策決定者の判断が求められる。
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特集 | ||
ブラジル新自動車政策 |
ブラジル政府がグリーンモビリティ・イノベーションプログラム(MOVER)と銘打つ新自動車産業政策を2023年12月末に発表した。国内生産の付加価値税(IPI)に関する税制優遇や研究開発に対する税額控除などを柱とする枠組みは従前のROTA 2030を引き継いでいるが、予算規模は大型化している。2024~2028年に総額193億レアルで、単年では平均38.6億レアルとROTA 2030の2倍以上である。注目すべきは、エタノール燃料車に限り2026年までIPI減税が3%上積みされること。自動車の脱炭素化ソリューションが世界的にBEVに傾くなかで、ブラジル型のサステナビリティをエタノールに見出したことになる。
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EV火災関連の法規制 |
車両運搬船におけるEV火災で被害が拡大していることを受けて、事業者間では自主規制(対策)の動きが広がる。車両運搬船の火災対策としては、船舶の安全規則を定めたSOLAS条約があるが、従来燃料を想定しており、EV時代に即していない。そこで国際海事機関は、EVを含む新エネルギー車の火災安全要件の本格的な審議を2024年3月に開始予定である。EUや日本でも、EV輸送の安全性向上に向けた取り組みが始まっている。屋根付き駐車場等の陸上の閉鎖空間におけるEV火災についても、明確な規制は今のところ存在しないが、各国の消防関係団体がガイドラインなどを策定している。
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環境 | ||
国連 | ||
インド | ||
標準化 | ||
日本 | ||
産業政策/事業動向 | ||
中国 | ||
インドネシア | ||
台湾 | ||
短信 | ||
世界 |
FOURIN 世界自動車法政策調査月報 2024年3月号 (No.78) | ||
視点 | ||
BYDメキシコ進出のインパクト |
中国BYDが、「鬼門」の米国市場進出を視野にメキシコ工場建設を計画していると伝えられた。通商法第301条に基づき、中国製車両には追加関税(25%)を課されるが、米国メキシコカナダ協定(USMCA)に加盟するメキシコで生産した車両であれば、これを回避できるためである。このようなわかりやすいルートを米国が塞ごうとするのは自然な成り行きで、新たな関税負荷の議論も進んでいる。しかし、301条関税を賦課しても中国製車両の輸入が減少したという事実はなく、制裁措置の効果が疑問視される。米国大統領選を控えるなかでも民主党共和党とも対中強硬路線では一枚岩のように見えるが、制裁がもたらす効果は十分に検証するべきだろう。
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特集 | ||
電池規制の国際比較 |
車載電池の開発/生産/リサイクルに関連して、日欧米中の主要な法規/政策の動向をまとめた。モビリティの炭素中立化が焦点になる中で、各国政府とも電池セルの技術開発だけでなく、安定的な生産体制の構築や持続可能性(リサイクル等)の向上を政策的に支援している。日本は必要な電池原材料の権益確保を進め、2030年までに国内外750GWh/年の生産体制を整える。EUは電池の開発優先項目を明確化し、世界に先駆けて電池の循環利用を法規化するなど持続可能性を重視する。米国はインフレ抑制法を通じて、北米中心のサプライチェーン構築を目指す。世界の電池市場をリードする中国は次の開発ロードマップの検討を2024年初に開始した。
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DCASの国際基準 |
自動車基準調和世界フォーラム(WP29)傘下の自動運転分科会(GRVA)が2024年1月、運転制御支援システム(DCAS)の国連規則(UN-R)案を採択した。2024年6月のWP29 本会議での採択を経て、2025年1月に発効することを目指している。レベル2の運転支援システムの最低限の技術要件を定めることで、包括的な型式認証が可能になる。レベル2の運転支援技術について運転責任がユーザー側にあることを明確化することで、市場投入の促進につながると想定される。例えば、北米限定で頒布されているTeslaの自動運転ソフトウェアFSDベータ版の北米域外での流通や、Teslaに倣ったビジネスモデルの拡大を呼ぶことも考えられる。
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