北米国際自動車ショー(NAIAS: North American International Auto Show)が2017年1月9日、米国ミシガン州Detroitで開幕した。9日と10日が報道関係者向け、11日から12日が業界関係者向け公開となり、13日はチャリティプレビューが予定されている。一般公開は16日から24日まで。
NAIAS 2017では、ガソリン価格の低位安定が続く中で市場規模が拡大するSUV/CUVや小型トラック製品に加え、好景気を背景にスポーツカーを含む高級車製品の発表が目立った。前年(NAIAS 2016)までのトレンドであったPHEVやEVなど電動車の発表は控えめだった。NAIASの前週に開催された世界最大級のIT・家電展示会CES(Consumer Electronics Show、米国ネバダ州Las Vegas)で、EV(コンセプトカー)と自動運転技術を発表する傾向が強まったことなどが要因と考えられる。
自動車メーカー各社の発表をみると、米系は、GMがラージSUVの2018 Chevrolet Traverseを世界初公開した他、GMC Terrain/Chevrolet EquinoxやTraxなども発表した。Fordは米国最量販車であるピックアップトラックのF-150のフェイスリフトモデル(2018MY)公開に加え、2019年にミッドピックアップRanger、2020年にSUV Broncoを北米市場に投入する計画を公表した。CESでEVコンセプトカーを世界初公開したFCA USは、NAIAS 2017のプレス発表を控えた。
欧州系は、VWが北米向けに開発したSUVのAtlasとTiguanの3列シートモデルを公開した他、SUV製品を拡充する方針を示した。高級ブランドでは、AudiがSUVのQ8コンセプトを公開し、量産モデルを2018年に市場投入する計画を発表。BMWは新型5シリーズ、M-BenzはCUVのGLAやE-Classクーペを公開した。
日系をみると、トヨタは、NAIASのトレンドとなった小型トラックではなく、米国最量販乗用車であるCamryの新型車を発表。一方、Lexusは2006年以来の全面改良となるLS(5世代目)を世界初公開した。トヨタ以外では、ホンダがミニバンの新型Odysseyを発表した他、日産が北米市場に新たに投入するCUVのRogue Sport(欧州名:Qashquai)、乗用車のデザインコンセプトV motion 2.0を公開した。
電動車や自動運転技術関連では、VWが完全自動運転車のコンセプトカーとなるI.D. BUZZ Conceptを公開。完全自動運転モード時には、マルチファンクションステアリングホイールがダッシュボードに格納されるなど、未来の自動車が想像できる展示となった。自動運転やコネクテッド技術など新時代のモビリティに関する講演Automobili-Dも、開幕前日の1月8日から12日まで開催されている。
一方、NAIAS 2017のプレス発表では、自動車メーカー各社が、トランプ次期大統領を意識したためか、米国投資を拡充する意向や米国製造業界への貢献度を強調する傾向も現れた。2017年に入り、トランプ次期大統領から批判されていたFordが、メキシコ新工場の建設を中止した発表が影響したとみられる。Fordは工場の建設中止は、トランプ氏からの批判とは無関係と強調しているが、各社の海外投資が慎重になりつつあることが伺える。トランプ次期大統領がFordに続き批判したトヨタは、米国投資は約60年で220億ドルに達し、約13.6万人を雇用している状況を説明。更に今後5年間に100億ドルを投資する計画を明らかにした。
2017年1月9日現在