脅威の超低価格を実現したインドTata自動車の
コスト削減策の秘密を部品メーカーへの
ヒアリングから解き明かす
- 2008年1月、インドTata自動車が発表した超低価格車Nanoは
10万ルピー、日本円で約28万円。 - 低コスト実現の鍵を握る小型化の徹底と部品外注の徹底。
インドの低コスト設計・開発能力を徹底活用。 - セカンドソーシング制度や外板パネル・エンジン主要部品の
外注等、インドならではの外注政策でコストを削減。 - 設計・開発から部品調達・製造、販売・サービスまで事業全体で
革新的超低コストを実現したNano計画を解剖。
2008年1月、New Delhiで開催された第9回インドモーターショーAuto Expo2008において、インド民族系最大の自動車メーカーTata Motorsが超低価格車Tata Nanoを発表しました。NanoはTataが2002年にコンセプトを発表して以来準備してきた10万ルピー(約28万円)の『夢のファミリーカー』で、2008年10月までに発売されます。
Nanoの開発に当り、Tataは小型化の徹底と機能の絞り込みを実施。2気筒用1本インジェクター式燃料噴射装置、右側ドアミラー、一本ワイパー、一体型ウォーター/オイルポンプケース等、多様なアイデアを採用。部品取引でも、発注先とは別に将来発注の可能性がある部品メーカーをセカンドソーシング先として認定、既存取引に緊張関係を導入しながら突発的欠品に備える『セカンドソーシング制度』を導入。通常自動車メーカーが内製するような外板パネルや主要エンジン部品を含めて殆どの部品を外注する政策を採用しました。
製品面では、10万ルピーのベーシック版Nanoと15万ルピーの上級版Nanoを設定。ベーシック版Nanoでは、ラジオやエアコン、パワステ、ブレーキブースター等を取り払うことで10万ルピーという超低価格を実現し、二輪車・三輪車からの乗換えや新規ユーザー開拓を目指す計画です。上級版Nanoでは、ベーシック版で見合わせた装備の装着に加えて、ディスクブレーキ、パワーウインドウ、コモンレール式ディーゼルエンジンを搭載。順次、CNG、LPG対応エンジンを搭載することにより、既存自動車ユーザーやタクシー需要の取込みを目指します。これにより、TataはNanoを2008年10万台、2009年30万台、2010年50万台、2013年100万台生産する計画です。
FOURINは、2008年1月、Tata Nanoに部品を供給する主要部品メーカーに対する緊急現地ヒアリング調査を実施。Tata Nanoで導入された、Tataのコスト削減の秘密を、『インドTataコスト削減策の秘訣』として取りまとめました。
当調査報告は『アジア自動車調査月報』の別冊として発刊しました。内容の重要性に鑑み『アジア自動車調査月報』の購読者以外にも広く販売いたします。
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![]() 総論 |
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Tata Nanoのコスト競争力と将来展望
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◇Tata Nano対抗製品投入計画と製品競争展望
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・A1ミニ/ロワーA2コンパクトの競争激化
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・アッパーA2コンパクト/ロワーA3ミッドサイズの競争激化
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![]() 第1章 |
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Tata Nanoプロジェクトの概要
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・ファミリーユース意識した広い室内と安全な足回り
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・低燃費とEuroⅣに対応可能な環境性能
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・一体化と簡素化に向けた新アイデアの採用
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◇生産・販売・輸出計画
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・年間100万台への急速立ち上げめざす生産計画
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・モータリゼーション先取りめざす販売網の構築
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・単独と提携を組合せ多様なルートで輸出を計画
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![]() 第2章 |
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Tata Nanoで始まる独自のコスト削減策
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◇開発にさかのぼったコスト削減策
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・小型化の徹底と機能絞込み、VA/VE
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◇部品取引を通じたコスト削減
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・競争の常態化もたらすセカンドソーシング制度
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・マージン率削減を補完するスケールメリットと夢
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◇インド開発能力の活用めざす部品取引先の絞込み
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![]() 第3章 |
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Tata Nano向け部品と分野別部品納入企業
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◇車体外装部品と納入企業
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◇車体内装部品と納入企業
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◇車体機構部品・装備品と納入企業
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◇電装・電子部品と納入企業
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![]() 第4章 |
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Tata Nano部品納入企業のコスト削減努力
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(インド自動車部品メーカー40社の現地ヒアリング抄録)
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◇Boschグループ
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・Bosch (エンジンマネジメント、燃料噴射システム、点火コイル)
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・Bosch Chassis Systems India (ブレーキシステム)
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・Sudram Fasteners (金属ファスナー)
47 |
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・Sundaram-Clayton (エンジンダイカスト部品)
47 |
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・Brakes India (ブレーキシステム)
47 |
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・Wheels India (スチールホイール)
47 |
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・Lucas-TVS (スターターモーター、オルタネーター)
48 |
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・Delphi-TVS Diesel Systems (ディーゼルエンジンマネジメントシステム)
48 |
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48 |
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◇ Amalgamation グループIndia Pistons
(ピストン、ピストンリング、エンジンバルブ) 49 |
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◇ Raneグループ
(ステアリングシステム、ボールジョイント、サスペンションアーム他) 50 |
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◇Anandグループ
51 |
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・Emcon Technology (エキゾーストシステム)
51 |
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・Gabriel India (ショックアブソーバー)
51 |
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・Mahle Filter Systems India (フィルター)
51 |
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・Anand Nishikawa (ウェザーストリップ)
51 |
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◇Rico Auto Industries (シリンダーブロック)
52 |
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◇Amtek Auto (クランクシャフト、コネクティングロッド他エンジン部品)
52 |
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◇Endurance Systemsダイカスト部門 (アルミダイカスト部品)
53 |
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◇JBM Auto (車体骨格プレス部品)
53 |
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◇Tata Johnson Controls Automotive (シートシステム)
54 |
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◇IFB Automotive/ IFB Industries (ドアラッチ、ウインドウレギュレーター)
54 |
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◇Lumax Industries (照明機器)
55 |
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◇Imperial Auto Industries (ゴムホース、金属チューブ)
55 |
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◇Exide Industries (バッテリー)
56 |
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◇Suprajit Engineering (コントロールケーブル)
56 |
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◇Clutch Auto (クラッチシステム)
56 |
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◇ Continental Automotive Systems
(タンク用フューエルポンプ、フューエルレベルセンサー) 57 |
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◇Delphi Automotive Systems (コンビネーションメーター)
57 |
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◇GKN Driveline India (等速ジョイントドライブシャフト)
57 |
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◇Federal-Mogul Goetze (ピストン、ピストンリング)
57 |
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◇Talbros Automotive Components (エンジンガスケット)
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◇Varroc Engineering (エンジンバルブ)
58 |
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◇Sandhar Technologies (ドアロック)
58 |
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◇Interface Microsystems (フラッシャーユニット)
58 |
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◇Gandhi Special Tubes (金属チューブ)
58 |
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◇Nano向け部品供給が決定してない部品メーカー
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・Hinduja Group Ennore Foundries (鉄鋳造部品)
59 |
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・Endurance Systems ダンパー部門 (ショックアブソーバー)
59 |
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・Fiem Industries (照明機器)
59 |
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・JPMグループ (コンビネーションメーター)
59 |
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・Remsons Industries (コントロールケーブル)
59 |
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![]() 付録 |
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インド自動車産業統計
60 |
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インド、セグメント別ブランド別自動車生産台数(2002~2007年)
60 |
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インド、セグメント別ブランド別自動車販売台数(2002~2007年)
62 |
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インド、セグメント別ブランド別自動車輸出台数(2002~2007年)
64 |