CASE(コネクティビティ、自動運転、サービス/シェア、電動化)で競争力強化
VW、Daimler、BMWのドイツ自動車メーカーや、Bosch、Continental、ZFなどのドイツ部品サプライヤーは、次世代の戦略としてCASEやACESと呼ばれる4つの次世代技術、コネクティビティもしくはコネクテッド(Connectivity/Connected)、自動運転(Autonomous)、サービス(Service、モビリティサービス)、電動化(Electrification)を重視する姿勢です。この4分野には燃費改善や効率化(環境規制対応)といったこれまでの自動車に直接関係する要素だけでなく、交通渋滞の緩和や事故の低減、より自由度の高いモビリティの提供といった社会性の高い要素も含まれています。また、自動運転の実現やカーシェアリング、ライドヘイリングといったモビリティサービスの普及は、従来の自動車ビジネスモデルを毀損する可能性もあり、自動車産業にとってはこれまでにない挑戦となります。
こうした動きは世界全体で起きていることですが、特に米国と中国での動きが盛んで、ドイツ自動車メーカー・サプライヤーにとって重要度の高い両国での最大の競争焦点になって、いずれの市場においても現地勢に加えて日本勢との競合が必然となります。ドイツ勢はルール作りが上手く、EUを巻き込んでの標準化を着々と進めており、そこで策定したルールを世界標準とすべく、上記4分野の開発とルール作りに邁進しています。
ドイツ自動車メーカー・部品サプライヤーのCASEを含む新たなグローバル戦略を詳しく分析、ITやモビリティサービス事業者、スタートアップといった自動車業界にとっての「新顔」との提携、M&A動向などもまとめます。
当案内をご高覧頂き、関係部署とも相談の上、ご採用賜りますようお願い申し上げます。
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![]() 総論 |
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ドイツ自動車メーカー・部品サプライヤーのCASE戦略
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ドイツ自動車産業展望、ディーゼル車不振の逆風の中、 CASE分野で世界を主導する立場確保へ | |
◇ドイツ自動車メーカー、部品サプライヤー各社のCASE戦略 | |
◇ドイツ自動車メーカー、部品サプライヤー各社のCASE関連の提携戦略 |
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![]() 第1章 |
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EUとドイツ自動車産業戦略
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◇EUの考える自動車産業強化策 | |
◇小型自動車燃費規制強化、商用車でも燃費規制を導入予定 | |
◇ 戦略立案ハイレベルグループGEAR 2030や、イノベーション推進枠組み Horizon 2020の取り組み | |
◇ ドイツ、自動運転車の実用化に向けフレームワーク策定、 標準化に向けた動きも目立つ | |
◇ディーゼル問題は深刻化 | |
◇カーシェアリング、法改正が追い風となるか | |
◇ ドイツのデジタル化戦略、社会インフラの1つとして整備する方針に基づき、 高速化、枠組み作りなどを推進 | |
2. ドイツ企業によるM&A動向:自動運転、コネクティビティ、電動車、 モビリティ分野でのM&Aが活発化 | |
3-1. 米国ではプレミアムブランドとしての価値向上目指す、自動運転車の早期投入、 モビリティ事業の強化図る | |
◇米国市場におけるドイツメーカーの状況 | |
◇BMW:CUV製品拡充/モビリティ事業強化 | |
◇Daimler:シェアリング事業強化/生産体制の構築 | |
◇VW:米国と共にメキシコ事業も重視 | |
◇生産:3社とも能増する傾向 | |
3-2. ドイツメーカーの中国事業戦略、NEV規制以降の競争力維持に向けた 事業体制の構築を図る |
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![]() 第2章 |
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ドイツ自動車メーカーの戦略
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1. VW: ディーゼルゲートの影響乗り越えて業績は過去最高に、 電動車シフトの成否と中国依存度の高まりが今後の課題に | |
◇ 業績、販売台数ともに過去最高に、電動車、自動運転、 コネクテッド関連の開発を重視 | |
◇世界生産能力は1,000万台超を確保、引き続き中国では能増 | |
◇メキシコ工場稼働で北米での製品供給能力整備、中国では拡販目指し生産能力増強 | |
◇ 基本アーキテクチャ4種と電動車用2種の体制、グループ全体でSUV製品拡充 | |
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◇研究開発費は上昇傾向、自動運転関連のR&D機能拡充を加速 | |
◇生産工程のデジタライゼーション、VWグループ、Audi、Porscheが開発主導 | |
◇ SUV製品強化で世界販売は2017年に1,074万台まで拡大、 米国は復調も欧州はシェア低下続く | |
2. BMW: 2021年のフルコネクテッドBEV発売目指し、 高収益体質の維持と先進技術追求の両立図る | |
◇ 自動車事業のRoS水準維持とコスト抑制を重視、取締役に デジタル関連の職責を追加 | |
◇R&Dの中核FIZを拡張、スタートアップ支援も | |
◇ 主要市場の米中で需要高いSUVとラグジャリー製品を強化、 アーキテクチャはCLAR移行進める | |
◇パワートレインの改良は継続、電動車は2025年までに25モデル発売予定 | |
◇自動運転はIntel、Mobileyeとの提携で2021年にレベル3/4の実現目指す | |
◇モビリティサービス、DriveNowを完全子会社化、car2goとの統合なるか | |
◇世界販売200万台目標は2014年に達成、SUVのXシリーズの販売が特に好調 | |
3. Daimle: M-Benzがプレミアムブランド乗用車販売で世界首位奪還、 CASE分野でトップブランドを目指す | |
◇ プレミアムブランド乗用車世界首位奪還、CASE分野でトップブランドを 目標に世界展開拡大 | |
◇次世代BEV生産に向け世界主要拠点でフレキシブル生産体制整備 | |
◇CASE分野の開発強化 | |
◇電動車製品ラインアップ拡充を加速 |
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![]() 第3章 |
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ドイツ部品サプライヤーの戦略
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◇次世代技術開発投資加速に向けた事業体制を構築 | |
◇業績:2016年も売上高700億ユーロ超を維持、研究開発費増加がEBIT押し下げ要因に | |
◇次世代技術開発の強化で設備投資も活発化 | |
◇ 自動運転/IoT/電動車分野での競争力強化に向けR&D体制を拡充、 他社との開発提携にも積極的 | |
◇電動車分野/燃費改善技術への注力 | |
2. Continenta: 2020年売上高500億ユーロ目指し、自動運転、電動車、 モビリティサービスに注力 | |
◇ 2020年売上高500億ユーロ目指し、ADAS関連技術強化、 成長分野での提携や買収も加速 | |
◇ 2016年に初めて売上高が400億ユーロ超え、2018年見通しは 470億ユーロ、2020年500億ユーロ目標 | |
◇ ADAS、電動車、ターボチャージャー等の生産に積極投資、 タイヤでは欧州外での生産体制整備に注力 | |
◇ Schaefflerと調達で提携、プレミアムサプライヤーを選定し 優れたサプライヤーとの関係深化図る | |
◇ 自動運転/コネクティビティ/モビリティ分野の開発投資を重視、 SiliconValleyに新R&Dセンター建設 | |
◇ コネクティビティやクラウド技術への取り組みを強化、 ディスプレイやHMIの開発にも注力 | |
◇高性能冬用タイヤやスポーツタイヤ製品を拡充、センサー搭載のタイヤも公開 | |
3. ZF: TRW買収で世界3位のサプライヤーに急成長、 エミッションゼロの自動運転車の実現が目標 | |
◇CEOは交代も経営方針は大きく変わらず | |
◇Zero Visionのスローガンのもと、エミッションゼロの自動運転車開発を進める | |
◇ 自動運転・新モビリティ開発に特化したイノベーションハブの設置、 スタートアップ支援など多彩な手段でR&D機能充実を模索 | |
◇Local for Localをスローガンに現地化進める調達戦略 | |
◇CASE関連と中国事業強化に事業提携やM&Aを活用 | |
4. Getrag: Magna傘下入りし財務強化図る、DCTと機電一体システム事業を強化 | |
◇ Magna傘下入りし財務基盤を安定化、中国でDCT、 欧州でDCTとMTの生産能力を増強 | |
◇機電一体システムに注力、内燃機関車向けではモジュール化を推進 | |
5. Schaeffle: 電動化、デジタル化、Industry 4.0対応に注力、 Continentalとは開発・購買で協業維持 | |
◇ 電動化、デジタル化、Industry 4.0を軸とした成長目指す、 買収や提携にも積極的 | |
◇2018年1月に3部門体制に移行、自動車OEM部門内に電動モビリティ事業部門設立 | |
◇ 2017年に売上高が5.9%増となるもEBIT率は11.3%と目標未達成、 負債削減目標は2年前倒しで達成 | |
◇グローバル供給体制整備に向け設備投資拡大、調達ではContinentalと協業 | |
◇売上高の5%強を研究開発費に計上、大学などとの共同研究を推進 | |
◇ 電動化と内燃機関車燃費改善の双方向で取組み、電動車向けでは 当面48Vシステムに注力 | |
6. Infineon: 電動車/ADAS需要増で事業拡大、中国では百度の 自動運転開発プロジェクトApolloに参加 | |
◇2017年9月期決算 | |
◇事業連携/M&A | |
◇百度のオープンソース開発プロジェクトに参加 |