商用車で先行するCASEの取り組み
世界の中・大型商用車市場はコロナ禍の影響で2020年に落ち込むものの、中長期的には中国など新興国の市場成長を原動力に拡大を続けることが見込まれます。一方で商用車メーカーの世界生産規模を見ると上位10社の内、半数以上を中国系メーカーが占め、その生産規模を背景に車両価格の競争力を引き上げています。ただ商用車の競争力を決定づけるのは、製品のライフサイクルを通じて掛かるコストの総量である総保有コスト(TCO=Total Cost of Ownership)であり、製品の耐久性や長年蓄積された効率的で高品質のアフターサービスノウハウなどを背景に先進国系メーカーはTCOの競争力で新興国系メーカーを上回っています。先進国系メーカーがTCOの競争力を維持する為にはCASE等の先進技術をうまく取り込んで魅力的なサービスをいち早く開発することが求められます。またそれらを早期に実現するためには、臨機応変に他社との協業を活用することも必要です。
当調査報告「世界商用車メーカー年鑑2021」は、商用車メーカー各社がTCOの低減に向けていかに取り組みを進めているかに焦点を当てて、特集レポートで各社のCASEの取り組みや提携関係構築に向けた最新動向を比較し分析を行っています。さらに本編では電動車新興メーカーを含めた世界主要商用車メーカーのグローバルな製品・生産・販売・アフターサービス戦略など、テーマごとに解説しています。業界調査や競合企業のベンチマーキング調査への足掛かりの1冊としてご検討賜りますよう、お願い申し上げます。
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世界の商用車業界の展望と各社のCASE戦略比較
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特集: 中国系メーカーとの競争に備え、 CASEを軸にTCOの競争力強化に注力する先進国メーカー |
◇電動化 | : | 短距離輸送はBEV、長距離/大量輸送はFCEVの流れが固まる |
◇自動運転 | : | 当面はレベル2のADASの搭載に注力、レベル4以上は限定地域での実用化が進む |
◇コネクティッド化 | : | TCO削減に向けた有力なソリューションとして各社が注力 |
◇ | FCのデファクトを狙い協業が活発化、 |
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![]() 第1章 |
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商用車メーカーの世界生産・販売、経営状況比較
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1. 世界商用車メーカーの生産・販売実績 |
◇米州 | : | 米国市場は2019年まで3年連続増加 |
◇欧州 | : | 主要3ヵ国、2019年は3ヵ国ともに増加 |
◇中国 | : | コロナ対応の景気刺激策でトラック生産は増加 |
◇アジア | : | ASEAN・南アジアはコロナ禍が追い打ち |
2. 世界商用車メーカーの業績・経営戦略比較 |
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◇製品戦略 | : | 電動化は長距離がFCEV、短距離がBEV化で対応が進展 |
◇生産・調達戦略 | : | グループ内に限らず外部との共同調達でコスト低減を目指す |
◇研究・開発戦略 | : | FCEV実用化のスピードアップと効率的な投資に向け、4グループに分かれて開発を推進 |
◇販売・サービス戦略 | : | TCOの削減に向け各社がコネクティッド化に注力もサービス差別化が課題 |
◇提携戦略 | : | VWとNavistar、日野などスケールメリットを狙う提携熱が再燃 |
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![]() 第2章 |
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米国商用車メーカー
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Navistar | : | 米国トラック・バスメーカー、TRATONとの提携で成長目指す |
PACCAR | : | 米国トラックメーカー、3ブランドの特色を生かし利益を伴う成長を目指す |
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米国メーカーの小型商用車事業 | : | デジタル化など次世代化図る、BEVピックアップトラック投入準備進む |
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![]() 第3章 |
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欧州商用車メーカー
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Daimler | : | 世界最大の商用車メーカー、自動運転トラックとBEV/FCEV展開を重視 |
TRATON | : | VWグループの商用車メーカー、収益・プレゼンス・技術革新でリーダー目指す |
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AB Volvo | : | スウェーデン商用車メーカー、BEVトラック・バス本格投入開始 |
欧州メーカーの小型商用車事業 | : | PSAとFCAの合併、VWとFordの提携などにより提携関係が変化 |
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日本商用車メーカー
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いすゞ | : | 国内中・大型商用車大手、2020年末までにUDトラックス買収を予定 |
三菱ふそう | : | Daimlerグループの新興国戦略とBEV開発担う商用車メーカー |
日野 | : | トヨタ傘下の商用車メーカー、TRATONとの調達・電動PF開発などで協業深化 |
UDトラックス | : | Volvoグループの商用車メーカー、2020年末までにいすゞ傘下に移行 |
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アジア商用車メーカー
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現代自グループ | : | 韓国最大手、2020年販売目標は未達見通し、海外やFCEV事業に注力 |
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北汽集団 | : | 中国の中・大型商用車メーカー、自動運転・電動化に注力 |
中国長安 | : | 中国商用車大手メーカー、BEV化とコネクテッド化に取り組む |
中国一汽 | : | 中国大手中・大型商用車メーカー、スマート商用車戦略を推進 |
上汽集団 | : | 製販台数は2014年から5年連続で増加、CASE事業に注力 |
中国重汽 | : | 中国重型トラックメーカー、2025年に年間販売60万台を目指す |
江淮汽車 | : | 中国中堅商用車メーカー、2020年内をめどにVWが出資 |
陜汽集団 | : | 中国重型商用車メーカー、2020年に年商1,000億元を目指す |
慶鈴汽車 | : | いすゞの中国商用車パートナー、知能化・電動化に注力 |
華晨汽車 | : | 中国軽型商用車メーカー、2021年にRenaultブランドの商用車を現地生産 |
華菱汽車 | : | 中国大手重型トラックメーカー、製販が4年ぶりに減少 |
北奔重汽 | : | 中国重型トラックメーカー、コネクテッド化に注力 |
宇通客車 | : | 中国バス専業トップ、製販台数は2017年から3年連続で減少 |
金龍汽車 | : | 中国大手バスメーカー、新エネルギー車の新工場が稼働 |
BYD | : | 中国新エネルギー車メーカー、BEVバスを世界に供給 |
その他中国商用車メーカー | : | 政策主導でトラック市場は堅調、競争激化と経営不振で生産停止のメーカーが増加 |
Tata Motors | : | インド最大手、英印にR&Dセンター開所で開発力強化、CASE戦略は電動バスが軸 |
Mahindra & Mahindra | : | インド商用車2位、自社開発モデルによる商品ラインナップが拡大 |
Ashok Layland | : | インド2位の中・大型商用車メーカー、排ガス規制対応で新プラットフォーム投入 |