コロナ後の生残りへモビリティバリューチェーンの獲得強化
2020年の年初から世界中で猛威を振るうコロナ禍は、自動車生産・販売の停止による減収減益という形で世界の乗用車業界に財務の面で大きなマイナスの影響を与えています。世界の主要乗用車メーカーは近年、継続的にCASEへの対応に向けた巨額の投資資金を確保するため、生産・開発体制や人員の最適化、製品ラインの最適化、モジュール化などの事業の効率化に取り組んできました。今回のコロナ禍によりこれらの取り組みの一層の強化が求められますが、資金面で制約がある中でも将来の成長に向けた種まきが必要で、多くのメーカーは中期的な成長の軸として電動車に期待を寄せています。一方長期的には、自動車業界の収益源が、従来のメインストリームである自動車の製販事業と、移動にまつわるありとあらゆるサービスのバリューチェーンから収益の獲得を目指すモビリティ事業へ2極化することが想定され、世界の乗用車業界は中期・長期の両面において、成長の種の見極めが求められています。
当調査報告「世界乗用車メーカー年鑑2021」は、先進国・新興国の主要乗用車メーカーが、グローバルの事業戦略、生産、販売、調達、製品、提携、CASEなどの分野ごとに、成長に向けていかに取り組みを進めているかを解説しています。また特集では乗用車メーカー各社の事業戦略を多面的に比較・分析し、中期的と長期的な成長の方向性を展望しています。
当案内をご高覧頂き、昨今の厳しい経営環境下での生き残りに向けた事業戦略の策定などのための基礎資料として、ご採用賜りますようお願い申し上げます。
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![]() 特集 |
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世界乗用車メーカーの成長戦略比較
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コロナ禍で傷んだ財務の回復を図りながら、収益源の2極化への向き合い方を模索する乗用車業界 | |
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◇ コロナ禍により2020年第2四半期に大部分が営業赤字転落も、 第3四半期に概ね黒字を回復 | |
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◇ 経営戦略:コロナ禍への対応で収益力の回復が当面の課題、 電動車を成長の軸に据えるメーカーが多い | |
◇ 組織・人事:意思決定のスピードアップやモビリティ事業への 対応強化を狙う組織改編が続く | |
◇ 製品:量販BEV/PHEVの本格投入が始まる | |
◇ 生産:デジタル技術を活用した生産効率化が進展 | |
◇ 部品・調達:ホンダ/GM提携、 PSA/FCA経営統合など調達スケールメリット狙う提携関係が拡大 | |
◇ 研究・開発:イノベーションに軸足を置く新たな研究開発体制が始まる | |
◇ 販売:コロナ禍への対応でデジタル販売の導入が一気に進む | |
◇ 海外事業:収益性を軸に事業形態の選別が進展 | |
◇ 提携:部分提携から深みのある提携へ、ホンダが協業方針を転換 | |
◇ CASE:先進技術のパッケージ化が進展 |
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![]() 第1章 |
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世界乗用車メーカーの競争状況
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2. 世界自動車メーカーの生産・販売ランキング | |
3. 世界乗用車メーカーの主な資本提携関係 |
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![]() 第2章 |
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北米乗用車メーカー
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GM | : | 米国No.1メーカー、自動運転やBEV技術への投資確保に向け選択と集中加速 |
Ford | : | 米国No.2メーカー、業績改善に向け小型トラックなど高収益事業に集中 |
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![]() 第3章 |
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欧州乗用車メーカー
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Audi | : | VWグループの高級車メーカー、技術リーダーシップの回復目指す |
Daimler | : | ドイツプレミアムブランド、サブブランド活用やデジタル化により収益力強化図る |
BMW | : | ドイツのプレミアム自動車メーカー、BEVのiXとi4を2021年に発売 |
Porsche | : | VW Gr.の高級スポーツカーメーカー、電動化とデジタル化を軸にブランド力強化 |
Renault | : | 仏大衆車メーカー、de Meo新CEO就任、能力適正化急ぐ |
PSA | : | 欧州販売2位グループ、収益力回復を遂げFCAと合併 |
FCA | : | 伊と米に本拠を持つグローバルメーカー、PSAと統合し収益率の改善目指す |
SEAT | : | VW傘下のスペインメーカー、SUVとBEV/PHEVの両輪で成長を狙う |
Skoda | : | VW傘下チェコメーカー、BEVのEnyaq iVを2021年に発売し自社で生産 |
Volvo Car | : | 吉利Gr.のスウェーデンメーカー、安全と電動化、自動運転を軸にブランド力強化 |
Jaguar Land Rover | : | Tataグループ傘下の英国高級車メーカー、業績悪化が続く |
AvtoVAZ | : | Renault傘下のロシア乗用車最大手、Ladaブランドで展開 |
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![]() 第4章 |
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日本乗用車メーカー
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トヨタ | : | 世界販売大手、「選択と集中」で経営効率高めコロナ下でも収益確保 |
日産 | : | Renault・三菱自とアライアンスを形成する日系メーカー、e-POWER・BEVで電動化を促進 |
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スズキ | : | 日本の小型車メーカー、インドでシェア50%維持に向け経営資源を集中 |
マツダ | : | 日系中堅乗用車メーカー、早期の在庫調整でコロナ禍に対応 |
三菱自 | : | SUVが主力の日本自動車メーカー、PHEV技術・ASEANを軸に成長目指す |
ダイハツ | : | 軽・小型自動車メーカー、Rockyで小型車市場を開拓 |
スバル | : | トヨタと協業してCASE対応を本格化する日本の乗用車メーカー |
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![]() 第5章 |
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アジア乗用車メーカー
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現代自 | : | 韓国トップメーカー、新会長体制で電動車など次世代事業を強化 |
起亜 | : | 現代自傘下の韓国2位メーカー、電動車とモビリティソリューションに注力 |
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中国一汽 | : | 中国自動車大手、自主ブランド事業を再編 |
東風汽車 | : | 中国大手国有自動車メーカー、合弁事業が低迷 |
中国長安 | : | 2025年までにICE販売を終了、グループ販売600万台を目指す |
北汽集団 | : | 北京地盤の中国自動車大手、2025年までに完全にNEVにシフト |
広汽集団 | : | 2019年製販は200万台超、2020年は販売台数3%増を目指す |
奇瑞汽車 | : | 中国中堅乗用車メーカー、CASE対応の技術開発を推進、海外進出を加速 |
BYD | : | 中国民族系メーカー、中国内外市場で事業拡大 |
吉利汽車 | : | 中国民族系乗用車メーカー、M&A活用し海外事業拡充 |
長城汽車 | : | SUV事業を主力とした中国メーカー、中国内外で事業拡大 |
Tata Motors | : | インド大手自動車メーカー、乗用車事業立て直しの過程で分社化に着手 |
Mahindra & Mahindra | : | ユーティリティ車が主力のインド系メーカー、事業体のスリム化を推進 |
Proton | : | マレーシアの国民車メーカー、吉利によるテコ入れで国内市場2位に回復 |