68回目となるIAA(Internationale Automobil-Ausstellung、通称フランクフルト・モーターショー)が、2019年9月10日に開幕した。開催日程はプレスデーが10、11日の2日間、一般公開が12日から22日となっている。12日に行われるオープニングセレモニーには、前回に続いてMerkelドイツ首相も出席する。
今回のIAAの出展社数は30ヵ国800社超で、前回の約1,000社から2割減っている。自動車メーカーを見ただけでも、ホンダを除く日系メーカーやFCAなどが出展していない。PSAグループからはOpelのみ、現代自グループからは現代のみといったように、グループブランドの一部のみが出展しているグループも目立った。また、Fordのように出展していてもプレスカンファレンスを行わなかったり、会場内にブースを持たず屋外のスペースの一角で展示を行うPolestar(Volvo Car)のようなケースもあった。一方、中国勢は約80社。前回が73社で大きく増えたわけではないが、全体の出展数が減ったこともあって、出展社の1割を占めるに至っている。
出展社の減少は先進国のモーターショー共通の現象であるが、IAAは今回から新たな取り組みをいくつか導入している。ドイツ自工会VDAは、開催に先立つカンファレンスで、これまでのようなワールドプレミアの披露のみではモーターショーが立ち行かなくなっていることを踏まえ、今回のIAAではこれまでの展示(Exhibition)に、Conference、Experience、Careerを加え、この4つをテーマに開催する方針を示した。中でも、Conferenceはこれまでになかった試みで、プレスデー2日目の11日午後から15日日曜にかけ、特設会場で200人を超えるプレゼンターが発表を行い、週末の2日にディベートを行う予定となっている。テーマは"Beyond Mobility"でモビリティを軸に、自動車産業や交通システムの将来を考えることを目的とする。
10日の自動車メーカーのプレスカンファレンスでは、ほとんどのメーカーが電動車を発表し、それぞれモデル投入計画や販売台数目標を示した。VWは量産BEVのID.3、DaimlerがMercedes-Benz Sクラスの電動車EQS、BMWはi4のベースにもなるというConcept 4のほか、FCEVのコンセプトi Hydrogen NEXT、OpelがCorsa-eを公開した。Audiは本格的なオフロード車のコンセプトAI:TRAILを披露。AI:TRAILはレベル4の自動運転機能のあるBEVであるが、自動運転機能を謳ったモデルは多くなかった。また、Eフュエル関連の発表も目立たず、少しトーンダウンしている印象を受けた。
ドイツ系以外では、ホンダがBEVのHonda e、Renaultが新型Captur、Land Roverが新型Defender、現代自がBEVクーペのスタディ45を披露した。中国系メーカーは、第一汽車の紅旗(Hongqi)、長城汽車のWEY、Bytonが出展。いずれもSUVを主軸とした発表であった。
2019年9月12日現在
BMW
Daimler
VWグループ