2025年1月17日、インドニューデリーでThe Auto Expo Motor Show 2025が開幕した。今回は車両のモーターショーだけでなく、部品、タイヤ、バッテリー、建設機械、都市モビリティ、自転車など複数の分野の展示会を1つのイベントであるBharat Mobility Global Expo 2025としてニューデリーの3ヵ所の展示会場で開催された。
今回のモーターショーでは乗用車、商用車、二輪車の主要メーカーが出展。インドでは大気汚染がひどいこと、エネルギ自給率が低いことが貿易赤字の大きな理由であることから、政府が環境対応車の普及に世界の主要国と同様に注力しており、政府の意向を反映し今回のショーでも、乗用車、商用車、二輪車に限らず、電動車、代替燃料車が前面に押し出される形で展示されていた。
Maruti Suzukiは初のBEVであるe VITARAの量産モデルをインドで初めて公開した。インテリアを強調したカットモデルや、バッテリーを搭載したシャシのカットモデル、e-Axleやパワーコントロールユニットのカットモデルなどを展示するなど、技術的な側面も強調して展示した。一方鈴木俊宏社長は会見で、BEVはカーボンを減らす1つの手段にすぎず、インドではマルチパスウェイを進める方向性を強調しており、ストロングハイブリッド車のカットモデルなども展示していた。
現代自はインド2モデル目のBEVであるCreta Electricを世界初公開、現代ブランドの旗艦BEVであるIoniq9もインドで初公開した。プレスブリーフィングではインドでもBEVの普及に力を入れる事を強調した一方で、CretaのFlex Fuel車(FFV)を参考出展した。
Mahindraはプレスブリーフィングは行わなかったが、2024年11月に新規投入したばかりのBE 6eとXEV 9eを展示。インド初のSDVということでも注目を集めていた。
Tata Motorsは1つのパビリオンを独占し、乗用車と商用車合わせて50モデルを展示。乗用車ではSUVタイプのBEVのほか、FFVも展示し、幅広いパワーユニットを展開できることを強調した。商用車でもBEV、LNG車などを展示し、マルチに対応できる姿勢を示した。
トヨタはプレスブリーフィングを行っていないが、HiluxのFCEVやPriusのFFVのPHEVなどを展示し、マルチパスウェイの元祖であることのプライドを見せるような展示を行っていた。
その他、部品メーカーのPinacle Industries系のEKA Mobilityや財閥のMurugappaグループ傘下のMontra Electricなどの新興電動商用車メーカーが、トラクターやダンプなどの大型タイプの商用BEVを展示していた。
2025年1月20日
Maruti Suzuki
現代自
Mahindra
Tata Motors
トヨタ
その他、部品メーカー
Bharat Mobility Global Expo 2025における主要二輪車メーカーの製品発表及び展示内容は、メーカー間で大きな差異が見られた。Hero MotoCorp、スズキ、ヤマハは、新製品の発表や展示があったが、ホンダやBajaj Autoはすでに発表済または発売済の環境対応製品に限定した展示となった。TVS Motorも新規モデルの発表はなかったが、複数のコンセプトモデルを公開した。
インド最大の二輪車メーカーHero MotoCorpは、XTREME 250RとXPULSE 210 プレミアムモーターサイクル2モデル、XOOM 125とXOOM 160のスクーター2モデルの計4モデルの新製品を発表した。Hero MotoCorpは、フレックスフュエルのコンセプトモデルHF Deluxeや2024年12月に発売した電動スクーターVIDA V2など環境対応製品に加え、既存製品も多数展示し、トップメーカーとしての存在感を示していた。
スズキは、バッテリーEVの世界戦略第1号となる電動スクーターe-ACCESS、スクーターの主力製品ACCESSの新型モデル、バイオエタノール燃料対応のGIXXER SF 250の3モデルを発表。e-ACCESSは2025年3月に現地生産を開始し、同年4月より販売を開始する予定。また、海外へも輸出する計画がある。新型ACCESSとフレックスフュエルモデルGIXXEWR SF 250は2025年1月に販売開始。
ヤマハは、既存のモーターサイクルとスクーターを多数展示したが、新製品はスマートモータージェネレータを採用した新型FZ-S FI の展示のみとなった。同モデルは2025年3月に発売予定。
ホンダは、2024年11月に発表済の電動スクーターACTIVA e:とQC1の2モデル、2024年10月発売済のE85対応のフレックスフュエルモーターサイクルCB300F Flex-Fuelの合計3モデルのみを展示し、2050年までにカーボンニュートラルをめざす同社の環境対応製品を全面に打ち出した。
TVS Motorは、既存の製品を多数展示したほか、世界初のCNGスクーターJupiter CNG、次世代電動スクーターVision iQube ConceptやTVS X NFE Conceptなど複数のコンセプトモデルを展示した。
新興電動二輪車メーカーでは、最大手のOla Electric、Hero MotoCorpが出資するAther Energy、現地エンジニアリング会社大手Greaves Cotton傘下のGreaves Electric Mobilityなど10社以上が出展した。
Olaは、2025年投入予定の電動モーターサイクルRoadsterとRoadster Xの実機モデルを初めて公開したほか、2024年11月に発売を開始した低価格電動スクーターS1 Z、ラストマイルデリバリードライバーをターゲットとした自社初のバッテリー交換式モデルGig/Gig+を展示した。Atherはすでに販売している450シリーズの2025年モデルなどを出展。Greavesは、自社初の電動モーターサイクルのコンセプトモデルXyberを初公開した。インドでは、2025年以降、大手新興メーカーによる電動モーターサイクル製品の投入が活発化することから、その需要動向が注視される。
Hero MotoCorp
スズキ
ヤマハ
ホンダ
Bajaj Auto
TVS Motor
Ola
Greaves