市場成熟化で進むNEV、FCEV、IT活用など新しい成長方向の模索
中国自動車市場は2019年に前年比8.2%減の2,577万台(出荷ベース、CAAM発表)と2年連続減少となりました。米中貿易摩擦による経済成長鈍化、一部地域での国6排ガス規制の前倒し実施などが主因と考えられます。中国自動車業界を取り巻く環境を見ると、中国政府は近年、環境規制を一層強化しています。2019年よりNEV規制を適用し、FCEV産業育成強化策も明示したのに続いて、国6排ガス規制を2020年7月、第5段階燃費規制も2021年1月より全国で実施する予定で、規制適合と製品競争力の向上がメーカー各社の共通課題となります。さらに、武漢市から広がった新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、2020年上半期、特に2020年第1半期の自動車メーカーの製販や部品調達に大きなダメージを与えると見られ、中国自動車業界の優勝劣敗、再編統合に拍車をかけています。
こうした情勢の中、主要中国系メーカーはBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)を始めとするIT大手との提携を通じて技術・ノウハウを補完しながら、コネクテッド・自動運転分野での取り組みを加速し、製品付加価値の向上に努めています。カーシェアリングでの取り組みも強化しており、シェアリング事業に自社のNEVを投入することで販売回復につなげたい考えです。
一方、中国政府は外資系メーカーを対象とした規制を緩和する動きを進めており、外資系企業の投資環境が改善されました。2022年までに自動車生産メーカーに対する外資出資制限を完全撤廃した他、米中貿易摩擦を受けて「外商投資法」を2020年より実施し、知的財産権保護と技術強要の禁止を明記しました。今後外資系による中国事業への出資拡大や新事業の立ち上げが活発化すると見られます。
本調査報告では業界内で関心の高い中国自動車関連政策、米中摩擦の発端となった中国の自国産業優遇策の実態、各社のFCEV分野での取組を詳報し、メーカー各社の業績や生産能力、中古車輸出などをトピックとして取り上げます。さらに、各社の事業動向や、コネクテッド・自動運転技術の開発に向けたBATとの協業、カーシェアリングでの取り組みも紹介します。
当案内をご高覧のうえ、関係部署ともご相談いただき、ご採用賜りますようお願い申し上げます。
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総論 |
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第1章 |
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中国自動車産業関連の法規政策
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第5段階燃費規制を2021年より実施、低燃費技術の導入に伴うコストの上乗せが |
ICV関連法規、通信規格にC-V2Xの採用を明文化、2020年までにLTE-V2X導入 |
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第2章 |
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米中貿易摩擦に関する中国政府の主な対応
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2020年より外資投資の基本法である「外商投資法」が実施、知的財産権保護と |
中国への技術移転問題、これまでは「強要」の指摘あり、法改正や貿易合意で |
自動車産業への地方政府産業補助金の現状と実際の運用状況、開発・生産向けの補助金が多く、 |
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第3章 |
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中国燃料電池車(FCEV)産業の現状及び各社の取り組み
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中国政府FCEV関連政策 | : | 中央政府の政策に応じて地方政府も支援 |
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主要燃料電池システム・スタックメーカー | : | 産業拡大により生産・開発を加速 |
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第4章 |
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中国自動車産業の注目トピック
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上場企業2019年上半期業績 | : | 市場は縮小だが増収増益企業が増加、資金繰り改善のために資産売却・再編の動きも |
中国自動車生産能力 | : | 5,000万台規模で能力過剰が深刻化、各メーカーの増産計画の見直しが必要に |
その他の新興メーカー | : | 初量産車が小規模納車に留まり、巨額の赤字運営で生き残りへ正念場 |
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乗用車各社の自動運転技術開発 | : | 技術提携で開発加速、2025年にLevel 4~5の実用化が進む見通し |
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中古車輸出 | : | 中国10地域で輸出開始、「一帯一路」沿線諸国を輸出目的地として輸出拡大へ |
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第5章 |
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中国自動車メーカーの事業動向及び戦略
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東風汽車 | : | PSAとRenault/日産プラットフォームの導入より差別化、シェアリング事業強化によりNEV拡販を目指す |
中国一汽 | : | 乗用車は奔騰と紅旗ブランドでSUV投入を強化、商用車事業ではIT技術を活用した物流管理サービスを提供 |
中国長安 | : | 政府系ファンドから出資を受けNEV戦略を加速、コネクテッド・自動運転機能搭載車を投入し販売回復へ |
北汽集団 | : | 乗用車の新自主ブランド「BEIJING」を発表、国6/VI規制対応車やCASE技術の開発に注力 |
広汽集団 | : | 組織体制の見直しや品質改善を推進、ロシアで販売子会社を設立し海外事業も拡大へ |
吉利汽車 | : | ハイエンドEV「幾何A」を市場投入、2020年は新工場稼働を控えNEV事業が大幅拡大の見通し |
長城汽車 | : | 国内の生産体制強化と並行して海外進出も推進、提携強化しCASE対応技術の開発を加速 |
華晨汽車 | : | SUV更新とオンライン販売により販売回復を狙い、Tencent、東軟集団と提携しAIや自動運転技術を開発 |
奇瑞汽車 | : | 戦略投資家を迎え入れて事業拡大の資金を確保、新エネルギー車とコネクテッドの技術開発に注力 |
BYD | : | 「王朝シリーズ」と「eシリーズ」を中心に乗用車事業推進、商用車はEVバスの納入拡大に注力 |
江淮汽車 | : | 人気モデルの不足と補助金削減により販売が低迷、合弁EVの発売でVWとの提携を強化 |
衆泰汽車 | : | 販売低迷が深刻化し資金不足、Fordとの合弁会社設立計画も停滞 |
華泰汽車 | : | 製販減少と資金繰り難で経営不振、工場稼働停止と報道され、企業存続できるかが焦点 |
海馬汽車 | : | 上場廃止リスク回避のため不動産事業を売却、SUV投入や販売網拡充で事業回復を目指す |
中国重汽 | : | 2019年販売は4年ぶりに減少する見通し、組織再編に伴う人事・管理体制を見直し競争力強化へ |
宇通客車 | : | 中国聯通や華為などと提携しコネクテッド・自動運転技術を開発、Level 4自動運転バスの実用化を実現 |
中通客車 | : | 2019年は販売・輸出増のため増収増益の見通し、EV・FCEVバスは中国複数都市で路線バスとして走行中 |
安凱客車 | : | FCEVバスや自動運転バスの開発が進展、国内市場が頭打ちの中海外市場開拓に注力 |
陝汽集団 | : | 2020年販売目標を22.5万台に設定、海外KD工場建設で海外輸出が大幅増加 |
力帆集団 | : | 自動車販売不振で31億元の巨額赤字に転落、商用車子会社の売却や二輪車事業の強化で資金危機脱却へ |
NIO | : | 赤字拡大の中リストラや充電事業の分離独立を実施、販売回復しても利益出るまで前途遼遠 |
威馬汽車 | : | 2019年10月時点の累計納車数が1.8万台、Level 3自動運転車の開発、モビリティサービス事業を推進 |
小鵬汽車 | : | 2019年10月時点の累計納車数が約1.5万台、充電、販売網の整備を加速し販売拡大へ |
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第6章 |
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外資系自動車メーカーの事業動向及び戦略
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GM | : | 販売回復に向け製品ラインアップを拡充、新駆動システムや車載通信基盤を中国市場に導入 |
ホンダ | : | HEVを中心に電動車の投入が増加、コネクテッドシステムは中国企業との共同開発で現地化を推進 |
トヨタ | : | 2025年に中国産能を280万台に引き上げ、製品投入や事業提携により電動化戦略を加速 |
日産 | : | ブランド初EV投入でNEV事業本格化、運転支援システムProPILOTの搭載を拡大 |
現代自グループ | : | 中国事業低迷に伴い産能縮小、SUVラインアップ拡充や販売網の整備で販売回復を目指す |
BMW | : | 2020年にブランド初の中国産EVを投入予定、長城汽車との合弁EV工場も着工 |
Daimler | : | M-Benzの中国産初EVモデルEQCを発売、吉利汽車、BYDとの提携を強化し中国NEV市場への参入拡大 |
Ford | : | 中国事業不振でリストラ策を実施、新モデル投入増加、Lincolnブランド国産化で販売回復を狙う |
FCA | : | 中国生産車はJeepブランド不調により販売低迷、組織再編やNEV製品投入で事業回復を目指す |
Renault | : | 製品投入増加とNEV事業強化で販売回復を目指す、アフターマーケット事業も強化 |
マツダ | : | 値引きに頼らない営業手法の影響で販売低迷、2020年に中国市場専用EVを投入予定 |
PSA | : | 中国での合弁事業を神龍汽車に集中、製品ラインアップ調整と販売網再構築で販売回復を目指す |
Tesla | : | 中国製Model 3は2020年1月に納車開始、拡販に向け充電・サービス網の整備を加速 |
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巻末 |
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付録(CDにも収録)
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中国 | : | 系列別ブランド別乗用車生産・工場出荷台数年次推移(2009~2019年) |
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中国 | : | グループ別メーカー別車種別自動車生産・工場出荷台数年次推移(2009~2019年) |