米国で進む自動運転技術開発とCAFE対応、
増大するメキシコ生産
北米3ヵ国(米国、カナダ、メキシコ)の自動車生産∕販売台数は過去最高水準に達し、更なる成長期に突入しています。米国とカナダでは、景気回復やガソリン価格の低位安定(2017年3月時点)などにより、利幅の大きい小型トラック需要が拡大した結果、自動車メーカー各社の収益は改善傾向にあります。一方で、強化傾向にある環境規制への対応や、次世代技術と言われる自動運転車の市場投入などを目指した研究開発投資も拡大。EVなど電動車技術や自動運転技術の発展に伴い、自動車をインターネットと結ぶコネクテッド技術の導入やIT業界との連携も加速しています。
メキシコでは、経営難に陥ったDetroit 3(GM∕Ford∕FCA US)が、収益率改善に向けて図った生産のメキシコシフトに伴い、日系を含め投資が活発化しています。北米におけるメキシコの位置付けも、金融危機前までの「組み立て拠点」から、本格的な生産拠点へと変わりつつあると言えます。小型自動車生産台数は2016年の347万台から、2020年には約5割増の500万台超も視野に入っています。
北米3ヵ国での不安要素としては、米国で2017年に発足した共和党トランプ政権によるメキシコ投資批判や製造業の米国回帰方針などが挙げられます。トランプ大統領は、北米3ヵ国における自動車産業の柱と言えるNAFTAの見直しに言及していますが、20年以上かけて構築してきた生産体制や事業戦略を変更することは容易ではありません。特に米国で市場形成が始まる自動運転車(電動車)は、収益性の面からもメキシコ抜きに生産体制を構築できない状況にあります。更に、自動運転技術などで自動車産業界とIT業界の連携が始まり、新技術の市場投入までの期間が大幅に短くなる中、新技術を確保するためにM&Aが活発化し、業界の再編は既に始まっています。急激に変化する北米自動車産業界で事業成長を維持するためにも、米国トランプ政権の政策変更を含めて的確な事業戦略の構築が不可欠となっていることは間違いありません。
『北米NAFTA自動車産業 2017』は、転換期にある北米自動車産業の現状を踏まえた特別調査報告書です。共和党トランプ政権発足後の社会、産業界全体の状況変化を交えながら、米国とカナダ、メキシコの現状、自動車メーカーの経営・事業戦略を分析しています。
本案内を御高覧頂き、関係部署とも御相談の上、採用賜りますようお願い申し上げます。
▼2章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第1章 |
|
北米NAFTA自動車産業の将来展望
1 |
|
1. 拡大する需要対応でNAFTA軸にメキシコ生産比率拡大へ、
米国では電動車や自動運転など先進技術への投資活発化 2 |
|
◇北米投資は5分野(生産、製品開発、先行開発、基礎技術開発、新規事業)に注目
2 |
|
◇製品開発投資:電動車とCUV、高級車に注力
4 |
|
◇技術開発:自動運転軸に開発進む
5 |
|
◇生産投資:生産効率の最適化から工場新設へ
6 |
|
◇パワートレイン開発投資:環境規制対応進む
9 |
|
◇共和党トランプ新政権誕生:自動車業界の反応
10 |
|
12 |
|
◇米国政権交代でCAFE規制値緩和の可能性も
13 |
|
◇規制対応に向けオフサイクルクレジットの積極活用へ
14 |
|
◇ZEV規制:2018MYからHEV対象外に
22 |
|
◇コネクテッド技術が電動車拡販も
26 |
|
3. EVやPHEVなど電動車や自動運転車に対する開発加速、
AIやIoT技術の活用ではIT業界との主導権争いも 28 |
|
◇2020年までに各社が電動車本格投入
29 |
|
30 |
|
◇自動車メーカー、将来の主力事業として開発強化
34 |
|
◇自動運転に関する法規制
36 |
|
◇シェアリングビジネス:次世代の収益モデルとして検討
38 |
|
4. 部品メーカー: 環境規制対応で軽量化・電動化分野の開発強化、
自動運転技術はIT業界の新規参入含め競争過熱 40 |
|
◇Delphi:収益性の高い自動運転関連事業を強化
41 |
|
◇Magna:軽量化、環境性能向上、ADAS強化
44 |
|
◇BorgWarner:環境規制対応の需要増で事業拡大
46 |
|
◇ZF TRW:北米ではTRW事業軸に電動化対応図る
47 |
|
◇Bosch:電動化と自動運転化軸に研究開発強化
48 |
|
◇Continental:電動化/ネットワーク化への対応加速
49 |
|
◇デンソー:環境規制に対応した製品開発が主軸に
50 |
▲1章へ / ▼3章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第2章 |
|
米国・カナダ自動車産業
55 |
|
1. 米国: 市場回復に伴い工場はフル稼働状態続く、
メキシコシフト加速も米国生産比率は6割超維持 56 |
|
◇生産能力:2020年までに6.4%能増へ
58 |
|
◇生産台数:2016年は前年比1.3%増
60 |
|
◇生産投資:モデルミックス変更や電動車開発が中心
61 |
|
◇変速機(乗用車):多段化とCVT化進む
64 |
|
◇変速機(小型トラック):5∕6速ATが中心
66 |
|
70 |
|
◇電動車販売
77 |
|
2. カナダ: 製造業のメキシコシフト背景に、IT産業を本格育成へ、
人件費高で生産車種は高級車やSUV生産が中心に 80 |
|
◇生産能力:2020年200万台超維持か
81 |
|
◇高付加価値モデル生産やIT関連産業重視へ
81 |
|
◇カナダ小型自動車市場
84 |
▲2章へ / ▼4章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第3章 |
|
メキシコ自動車産業
91 |
|
1. メキシコ: リーマンショック以降に生産移管加速、米国トランプ政権誕生も、
Bajio中心に生産拡大傾向続く 92 |
|
93 |
|
◇州政府によるインセンティブ内容
101 |
|
◇生産:2016年は2.0%増に留まる
108 |
|
◇輸出:米国の小型トラック需要増で伸び悩む
110 |
|
◇貿易協定:世界各国と結ぶFTAが輸出拠点の基盤に
118 |
|
◇メキシコ小型自動車市場
122 |
|
◇GM:生産能力倍増に向け投資拡大
128 |
|
◇Ford:完成車は新工場計画を断念PTは新工場計画を継続の模様
130 |
|
◇FCA US:PU生産拠点として活用してきたが、米国トランプ大統領の政策で暗雲
132 |
|
◇VW:製販事業での利益確保を最優先、北米生産能力の7~8割をメキシコに依存
134 |
|
◇Mercedes-Benz:2018年からAクラスベース車生産開始予定
136 |
|
◇BMW:2019年に新工場稼働予定
137 |
|
◇トヨタ:2019年より新型Corolla生産へ
138 |
|
◇ホンダ:海外初のエンジン∕変速機∕完成車組立の一貫生産拠点設置
140 |
|
◇日産:日米に次ぐ輸出拠点、2017年末にDaimlerとの合弁事業が稼働
142 |
|
144 |
|
◇現代自:2016年に起亜のメキシコ工場稼働、6割を北米、2割を中南米へ供給
146 |
▲3章へ / ▼付録へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第4章 |
|
自動車メーカー動向
149 |
|
150 |
|
◇経営戦略:利益拡大に向け、事業再編
151 |
|
◇北米外事業:収益確保が課題、欧州事業売却へ
154 |
|
◇生産:米国で高収益モデル増強
158 |
|
◇プラットフォーム戦略:開発効率化に向け、VSS発表
167 |
|
◇部品調達:サプライヤーとの関係改善図る
169 |
|
◇電動車・燃費低減技術開発:HEVからEVまで全方位展開
171 |
|
◇米国販売動向:台数以上に利益重視
180 |
|
1-2. Ford: 小型車の生産コスト低減、Lincoln事業再生に注力、
Smart Mobility事業も強化 188 |
|
◇経営戦略:2020年に営業利益率8%目標、モビリティ企業への変革進める
189 |
|
◇生産:米国をミドル以上、メキシコをコンパクト以下の乗用車拠点と位置づけ
193 |
|
◇調達戦略:ABFにより調達コスト低減と先進技術の優先的な獲得を目指す
201 |
|
◇PF戦略:PF数を2015年の12から将来的に8つに集約予定
202 |
|
◇製品戦略:CUV∕SUVを中心にLT拡充、乗用車では電動車専用モデル投入を計画
204 |
|
◇自動運転:2021年にライドシェアリング向け、2025年以降に市場投入へ
216 |
|
217 |
|
1-3. FCA US: Jeep、Ramの好調で製販規模は回復するも、
CAFE対応、コネクティビティなど次世代技術対応に課題 224 |
|
◇経営戦略:FCAの中核事業としてNAFTA事業の強化を図る
225 |
|
◇生産:米国内移管で小型トラックの生産能力を確保
229 |
|
◇部品・調達戦略:PF数削減、部品の標準化などでコスト抑制進める
233 |
|
◇製品計画:CUV製品拡充もコンパクト以下の乗用車は廃止
236 |
|
◇販売戦略:Jeep、Ramの販売を重視、小型トラック比率は当面8割程度で推移か
242 |
|
1-4. Tesla: EVと自動運転技術の開発強化、
創エネ∕蓄エネにも参入し新たなビジネスモデル構築へ 248 |
|
◇経営戦略:赤字体質からの脱却目指す
249 |
|
◇製品計画:製品ラインアップをラグジャリーから量販車に拡大
250 |
|
1-5. Faraday Future: 中国IT資本後ろ盾にEV市場参入図る、自動運転技術の
確保急ぐ、新たなビジネスモデル構築も視野に 258 |
|
◇初の量産向けEV「FF91」世界初公開
259 |
|
◇自動運転技術確立へ
260 |
|
2-1. VW: LT製品投入遅れと排ガス不正により米国販売で苦戦、
EV、自動運転、コネクティッド先行で長期的な成長に道筋 262 |
|
◇北米事業戦略:VW米国販売立て直しが急務
263 |
|
◇北米生産体制:CUV生産を拡大
265 |
|
◇米国製品ラインアップ:2018MYにCUV追加、Jetta更新
267 |
|
2-2. M-Benz Cars: 北米はグループにとっても最大の収益源、
LVではCUV拡充、自動運転早期実現などを重視 274 |
|
◇米国事業戦略:最大の収益地域として重視
275 |
|
◇生産:メキシコ生産は2018年に開始
275 |
|
◇製品:CUV製品の刷新は一巡、新アーキテクチャへの移行進む
278 |
|
◇販売戦略:CUV製品の更新と拡充を急ぐが、最優先事項は収益確保
282 |
|
2-3. BMW: 米国は最重要市場、主要生産拠点の位置付け、
CUV製品の充実、モビリティサービスの拡充進める 286 |
|
◇米国事業戦略:中国と並ぶ最大事業、利益確保を重視
287 |
|
◇生産:Spartanburg工場の能増が完了、メキシコ工場は2019年に稼働
288 |
|
◇販売戦略:CUV製品の更新と拡充を急ぐが、最優先事項は収益確保
295 |
|
3-1. トヨタ: TNGA新型車の生産に向け北米で生産再編、
自動運転・コネクテッド技術開発の中心地として米国へ投資 298 |
|
◇北米事業概要:販売の3割を占める重要地域
299 |
|
300 |
|
◇開発:新開発手法TNGA本格化
305 |
|
◇米国製品計画:TNGAベース車の導入開始
310 |
|
3-2. ホンダ: メキシコ工場稼働で北米生産能力は192万台∕年に拡大、
ホンダ、Acuraともにブランドイメージ刷新に注力 318 |
|
◇経営戦略:収益性向上に向けAcura再生を目指す、環境対応にも注力
319 |
|
◇生産:北米での生産能力拡大に注力
319 |
|
◇製品戦略:ホンダはコンパクト以下、AcuraはNSX投入による集客向上狙う
324 |
|
◇販売:店舗の刷新を推進しブランドイメージ向上図る
327 |
|
3-3. 日産: 北米市場シェア10%目標はほぼ達成、
LT製品強化、自動運転、EV普及などを重視 332 |
|
◇米国事業戦略:地域別では最大の事業、先進性を競う場としても重視
333 |
|
◇生産:メキシコで能増し、2020年までに230万台規模とする計画
333 |
|
◇製品:主要製品を刷新、CUV製品を拡充
337 |
|
3-4. 富士重: 2016年に2020年目標の60万台販売を前倒しで達成、
米国生産拠点SIAの能増で現地供給体制整備 346 |
|
◇経営戦略:拡販と高収益の両立を狙う
347 |
|
◇製品計画:2016年に新プラットフォームSGPベース第1弾のImpreza発売
350 |
|
3-5. マツダ: 墨工場を北米・欧州への輸出拠点として活用、
2015年度米国販売は目標の40万台に届かず 356 |
|
◇経営戦略:Fordとの合弁解消から北米事業黒字化
357 |
|
◇生産:メキシコ工場を北米、欧州市場向け輸出拠点に位置付け
357 |
|
◇製品計画:CUVを拡充、乗用車は製品ラインを縮小
360 |
|
3-6. 現代自∕起亜: LT製品拡充し販売増目指す、
メキシコ工場は北米・中南米向け供給拠点として活用 366 |
|
◇経営戦略:メキシコ工場は北米・中南米向け拠点として活用
367 |
|
◇生産:米国でLT能力拡大を計画、起亜のメキシコ新工場はコンパクト以下の拠点
368 |
|
◇製品展開:LT製品ライン拡充、Genesisブランドは2021MYまでに6モデルに拡大
370 |
▲4章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 付録 |
|
北米3ヵ国自動車統計(生産・販売)
381 |
|
・小型自動車生産統計(米国、カナダ、メキシコ)
382 |
|
389 |
|
・北米プラットフォーム別生産統計
415 |
|
・工場別生産統計(米国、カナダ、メキシコ)
418 |
付録CD 北米3ヵ国自動車メーカー別生産・研究開発拠点リスト
・メーカー別完成車生産拠点(米国、カナダ、メキシコ) |
|
・メーカー別部品生産拠点(米国、カナダ、メキシコ) |
|
・メーカー別研究開発拠点(米国、カナダ、メキシコ) |
|