モビリティの炭素中立を実現するラストピース
世界は炭素中立社会の実現を目指しています。中でもモビリティの炭素中立化では、電気自動車(BEV)が本命視されています。しかし、すべての市場、車種、用途、消費者ニーズをBEVだけで満たすことは不可能です。ハイブリッドや水素、合成燃料(eFuel)、バイオ燃料などを組み合わせたマルチパスアプローチが求められます。
合成燃料(eFuel)にはエネルギー効率が低い(BEVの6分の1以下)との批判がありますが、主要先進国のほとんどはエネルギーを輸入に頼っています。再生可能エネルギーは出力変動が大きく、先進国での自給率100%達成は2050年でも不可能と言われます。
地球上の局地に偏在する再生可能エネルギーを有効利用するためには、貯蔵や運搬に向かない電気エネルギーを別の媒体(気体/液体)に変換するPower to Xが欠かせません。eFuelはそのための最も有力なソリューションです。
本書では、eFuelを巡る主要な論点を網羅的に整理しました。自動車メーカーのエンジン技術者や世界的識者の声を踏まえ、自動車分野におけるeFuelの可能性を探ります。