拡大基調が続く世界二輪車市場 新興地域の成長力と地政学リスクを展望
FOURINが独自に集計した世界111ヵ国の2025年二輪車販売台数は、前年比503万台増の6,204万台となり、2年連続で過去最高を更新しました。市場拡大を牽引したのは、南アジアとアフリカです。南アジアでは、インドが物品・サービス税の引き下げを追い風に過去最高を記録したほか、債務危機の影響で低迷していたパキスタンやスリランカの需要も急速に回復しました。この結果、同地域の販売は前年比215万台増の2,300万台に達し、世界販売の37%を占めました。アフリカでは、ロシアによるウクライナ侵攻後の燃料・食料価格の高騰や、欧米の金融引き締めに伴う通貨安を背景に、2022~2023年に販売が落ち込みました。しかし、2025年はナイジェリアやケニアをはじめとする主要国の経済環境が改善し、前年比266万台増の770万台と過去最高を更新しました。メキシコ、ブラジル、コロンビア、フィリピンでも、二輪車販売が過去最高となりました。
2026年1~6月も、インド、パキスタン、ブラジル、コロンビア、フィリピンなど多くの国で販売の拡大基調が続きました。一方、2月に始まった米国・イスラエルとイランの紛争は7月に再び激化し、情勢の長期化が懸念されています。中東情勢の緊迫化は、原油・燃料の輸入依存度が高く、経済基盤の脆弱な新興国において、通貨安、金利上昇、外貨準備高の減少を通じて景気を下押しするリスクがあります。加えて、原材料価格の高騰が、タイヤ、樹脂部品、電子部品などの価格に波及しており、2026年後半には完成車価格への転嫁が進むと見込まれます。こうした環境変化は、とりわけアフリカ及び南アジアの一部市場における需要の下振れ要因となります。その一方、ブラジルやコロンビアなどの中進国では、経済性と利便性を兼ね備えた移動手段として、二輪車需要が引き続き拡大しています。また、国内市場が縮小する中国では、二輪車メーカーが海外展開を加速させています。150cc以下の実用車に加え、250cc超の市場でも価格競争力を背景に存在感を高め、欧州をはじめとする先進国市場でもシェアを拡大しています。世界市場の成長と同時に、メーカー間の競争構造も大きく変化しつつあります。
本書『世界二輪車統計年刊2026』は、世界各国の2021~2025年における二輪車の販売・生産・輸出データを体系的に収録するとともに、各国の税制・排ガス規制・電動化政策、主要メーカーの事業展開と戦略を多角的に分析した実務資料です。さらに、2035年に向けた国別の二輪車・電動二輪車販売予測を新たに掲載。過去5年間の市場変化を比較しながら、成長市場、政策リスク、競争環境を的確に把握できます。二輪車メーカー、部品メーカーをはじめ、二輪車事業に携わる企業の皆様に、事業戦略、商品・地域戦略、生産・調達計画、投資判断および需要予測の検討にご活用いただける一冊です。