マルチパスウェイ、AI活用とSDV開発、地政学対応による戦略再構築
世界の⾃動⾞産業は現在、歴史的な構造転換期に直⾯すると同時に、過去に例のない強い逆⾵にさらされています。電動化やデジタル化といった「100年に⼀度」とも⾔われる⼤変⾰に対応するため、各社は⼈的・財務的リソースに多額を投じてきました。しかしその過程でパンデミックが発⽣し、供給制約やサプライチェーン混乱といった想定外の事態が相次ぎました。結果として⽣産は⼤きく制約されましたが、⽣産量を⾼付加価値モデルに集中させることで台当たり収益を改善し、メーカー各社は⼀定程度この局⾯を乗り越えることができました。
その後、ウクライナ戦争の勃発が世界的なインフレを引き起こし、とりわけコスト構造に課題を抱えるメーカーに深刻な影響を及ぼしました。また、サプライチェーンの中国依存が改めて顕在化し、地政学リスクの⾼まりとともに産業構造の脆弱性が露わになりました。加えて、中国におけるSDV(Software Defined Vehicle)やNEV(New Energy Vehicle)分野の新興勢⼒が急速に台頭しているほか、⽶国による関税引き上げなど、従来型OEMに対する外部環境は⼀段と厳しさを増しています。
特に、中国市場への依存度が⾼いドイツ勢、とりわけ⾼級ブランドの販売不振は深刻です。また、⽶国市場のウェイトが⼤きい⽇本メーカーも、2025年度に⼊り減速が⽬⽴ち始めており、市場ごとのリスクが企業業績に直接影響する構造が⼀段と明確になっています。こうした状況は、従来の市場依存モデルに依拠した経営が限界に近づいていることを⺬し、各社が地理的ポートフォリオや事業基盤を再構築する必要性を強めています。
『世界乗用車メーカー年鑑 2026』では、欧州、北⽶、アジア(⽇本、韓国、中国、インド)の主要なメーカー・グループ22社を取り上げ、各社の経営⽅針、業績、事業体制、製品計画、⽣産/調達、R&D、販売、地域戦略、提携などの項⽬ごとに注⽬すべき情報、動向をまとめています。乗⽤⾞メーカー各社が厳しい事業環境や競争をどう乗り越え、⽣き残るかを分析し、中国の新興勢の競争⼒も含め、考察を加えています。
取引先の経営動向把握、⽣産計画策定、新規部品受注に向けた営業⽴案、ベンチマーク的な分析にご活⽤くださいますようお願い申し上げます。