NVIDIAの参戦とTesla vs Waymo競争構図の変化
2026年1月、米国Las Vegasで開催されたCES 2026で、世界AI・半導体大手のNVIDIAは、E2E方式の自動運転ソリューションを発表しました。NVIDIAの発表によると、同ソリューションのコアとなるのが、AIスタックのAlpamayoで、カメラビジョンを軸にするシングルスタック(統合AIを通じて、入力➡︎推論・判断➡︎行動を一体化)のReasoning方式(※)のE2E自動運転を行うとし、AlpamayoによるNVIDIAのADAS/自動運転ソリューションでは、SAEレベル2~4水準を自動車OEMの計画と要望に合わせて調整できると言っています。つまり、NVIDIAのAlpamayoソリューションを使えば、どのOEMもSAEレベル2~4水準のADAS/自動運転が実現できるとアピールしているわけです。この発表からすれば、NVIDIAがADAS/自動運転分野で困っている主要OEMの救世主として現れたといっても過言ではないかと思います。
今回NVIDIAが発表したReasoning方式のE2E自動運転技術は、元々Teslaがリードする分野です。Teslaは独自のソリューションで数年前から同技術を開発し、実用化を目指しています。Full Self Driving(FSD)と呼ぶ自動運転ソリューションを2020年にβ版としてリリースし、アップデートを経て2024年に監督型FSDをリリースしました。さらに、2026年にはドライバレスロボタクシー事業を本格化するなど、さらなる一歩を進もうとしています。こうしたTeslaを追従する多くのOEM、とりわけ、中国系新興BEVメーカーを中心に、同様の技術の開発が進んでいるのも事実です。
TeslaのE2E自動運転技術は、これまでの数年間、世界で600万台以上のTeslaブランド車から取得した実走行データからAIを学習させており、近年は人間のような運転をしてくれるほどに進展しています。既に70億マイル以上の走行データを確保したTeslaは、さらなる検証とアップグレードを進めています。こういったTeslaの努力はお金で換算できないほどのものと言われています。
ただ、CES 2026でのNVIDIAの発表は、こういったTeslaのこれまでの開発への努力を一気に崩せるほどのインパクトがあったとされます。言い換えれば、NVIDIAは、Teslaが独歩的なE2E自動運転技術のハードルを下げて、より多くの自動車メーカーが自動運転の開発と実用化へのアプローチができるように手助けしたい考え方のようです。
ここで、気になるのは2点あります。①なぜNVIDIAはこのタイミングでTeslaと同様のカメラビジョンのReasoning方式のE2E自動運転領域にやってきたのか?、②カメラビジョンE2E自動運転技術にNVIDIAが参戦した中で、Waymoのような既存のLiDARを軸にしたモジュール方式の自動運転技術企業は今後どうなるのか、という点です。
今回のNVIDIAの参戦を受けて、世界主要OEMにおけるADAS/自動運転の開発競争もより激化するとみられる中で、どのOEMがより現実的で、かつ、確実に実用化につなげられるのかが注目されているところです。ADAS/自動運転が実現することで、ソフトウェアディファインドビークル(SDV)の実用化もより鮮明になってきますが、こういったプロセスをどのようなOEMが先に成し遂げ、主導権を握れるのかも注目のポイントと言えます。
このような背景から、フォーインでは世界主要OEMのADAS/自動運転の開発と実用化をめぐる現状と将来についてマルチクライアント調査を企画しました。ADAS/自動運転のみならず、SDVに関わるOEMおよび周辺パートナーやステークホルダーなどの動向・戦略について調査・分析をいたします。
主要自動車メーカーおよび関連サプライヤーやパートナーの動向確認、今後のADAS/自動運転、ましてやSDV分野における予測・判断材料として、当報告書をご活用頂ければ幸いです。