ソフトウェアとカーボンニュートラルを軸とする成長戦略
自動車産業が電動化、コネクテッド、自動化のイノベーションに巨額の投資を行い、パラダイムシフトを進める中、Boschはその先頭を走り続けています。コーポレートスローガンである“Invented for Life”を体現する製品開発に野心的に取り組み、先進技術を次世代の戦略製品に育成するため、多数の提案を行っています。統合デジタルディスプレイとインフォテイメントシステム、統合電動コンポーネントのe-Axle、自動化進展とともに重要になる冗長設計を取り入れたブレーキやステアリング、商用車のカーボンニュートラルに必要となる燃料電池モジュール、自動バレー駐車システム、デジタルキーのPerfectly Keylessなど、コンセプトから量産製品化へと進み、今後の企業成長を担う新製品事業が多数始動しています。
Boschの新製品はコンポーネントやデバイスだけではありません。ソフトウェアベースのソリューションも提案しています。むしろ軸足はソフトウェアに移しており、これまでにソフトウェア重視の研究開発体制に組織を改変し、車両OSの開発にも取り組んでおります。2020年時点で、世界の研究開発員7万人のうち3万人をソフトウェア開発要員とし、2021年1月には製品ドメインを横断してソフトウェアとエレクトロニクスの開発を行うためにCDCC(Cross Domain Computing Solutions)事業部門を発足させました。さらにBoschはイノベーションを製品だけでなく、ビジネスモデルにおいても推進し、新ビジネス分野で事業を展開する方針です。IoT企業を目指すBoschは、自社のクラウドとソフトウェアプラットフォームを構築し、クラウドベースのコネクテッドサービスを立ち上げました。緊急支援のEコールサービスセンター運営、OTA支援、EVの充電支援など新たなサービス事業も開始しました。ソフトウェアに重心を移しサービス事業を成長事業とする、またCASE技術の広範囲な製品展開を同時に行う、こうした戦略はBosch以外に見られないユニークな取り組みです。
また、Boschはカーボンニュートラル時代に向けてEVコンポーネント事業や燃料電池技術開発に投資し新規事業を拡大しようとしています。さらに、2021年1月のCESにおいて、目標としてきた世界全400拠点のカーボンニュートラルを2020年に達成したことを報告、次のステップとして調達から製品の使用までバリューチェーン全体にわたるCO2排出削減を進めています。
本報告では、BoschのCASEそれぞれの技術戦略、ソフトウェア開発動向、サービス事業参入、カーボンニュートラル対応に焦点を当て、長期成長戦略を調査・分析いたします。新たな研究開発体制構築動向や製造拠点動向、サステナビリティに向けたユニークな取り組みについても取りまとめました。Boschの経営戦略の理解やビジネス関係の構築に、当報告書をご活用いただければ幸いです。