乱立する電動二輪車・部品メーカー、急成長から淘汰の時代へ
インドの電動二輪車販売は、2021年の15.4万台から2022年に前年の約4倍となる62.4万台へと急増し、月間販売台数も2022年10月から直近の2023年2月まで6.4万台を超える水準が続いています。しかし、電動二輪車の火災事故発生、補助金支給条件となっている部品国産化規定の不正、中国製品ベースの新興メーカーの乱立など様々な問題が生じています。こうした状況の中、インド政府はバッテリーパック/セル/BMSの安全基準に新たな項目を追加して安全性の向上を図るとともに、補助金による電動二輪車販売促進より電動部品の現地化を促進する政策へ軸足を移しつつあります。中央政府は電動二輪車の購入補助金政策FAMEを2024年4月以降継続しない方針で、中国からの電子部品等の輸入制限も検討しているとの報道もあり、急拡大してきた電動二輪車需要が鈍化する可能性があります。
その一方で、電動二輪車は、維持費やランニングコストに優れ、先進デジタル機能が充実しているなどの面から、品質、安全性、コストパフォーマンスにおいてユーザー評価がよければ、補助金終了後も引き続き好調な需要が続く可能性もあります。インド電動二輪車産業にとっては、品質を確保しながら、駆動モーター、コントローラー、バッテリーパックなど主要電動部品の現地化と低価格化が喫緊の課題となっています。政府政策に加え、既存の大手OEM、主要な電動二輪車メーカー及びサプライヤーの事業戦略自体が、今後の電動二輪車産業の方向性に影響します。
「インド電動二輪車産業の現状と将来展望」では、電動二輪車産業の現状と課題を、産業政策、市場動向、二輪車OEM、新興電動二輪車メーカー、現地及び外資系サプライヤーなど様々な視点から分析し、2035年のインドの電動二輪車産業を展望いたします。インド二輪車産業に携わる方々や新たに参入される方々にご採用いただければ幸いです。