xEVのエネルギー効率性のカギとなる熱マネジメントの現状と今後の方向性
世界自動車産業は、主要国・地域における環境規制への対応が求められており、CO2を含む温室ガス低減と燃費向上を目指して技術開発と実用化が進んでいます。2020年初めから始まったバッテリーEV(BEV)ブームから2024年以降のマルチパスウェイへとトレンドに変化はみられますが、『エンジンの介入を減らしながら、いかにEVモードでの走行を増やし、CO2排出を減らすこと』は共通しています。HEVも少量ながらバッテリーを搭載しており、EVモードによる航続距離を延長させるために、効率化向上を図る様々な工夫がなされています。エンジンが搭載されているHEVやPHEVの場合は、バッテリーが切れても、エンジンで走行することができますが、BEVの場合、いかにバッテリーを長く持たせるかが重要で、それが航続距離に直接結びつきます。その中で、最も積極的に取り組まれているのが、『熱マネジメント』分野です。
熱マネジメントは、自動車において重要な技術で、冷却または加熱することで、車両システムの最適化を図ります。特に、高温になりやすい部品に関しては、冷却を行い、寒冷地等一部の地域において加熱が必要な場合は、システム全般の温度を上げることで、システムの効率化につなげます。こうした熱マネジメントは、車載バッテリーの最適化を促進し、少しでも航続距離を延ばしたり、車載電子機器の使用をより長くしたりするなど、電源としてバッテリーのパフォーマンスを向上させます。また、eAxleとeAxleに搭載されるインバーターなど、主要電動車部品の最適な状態維持と、パフォーマンス確保にも熱マネジメントは欠かせません。さらに、xEVにおいて共通して搭載されるバッテリーパックには、最適な温度管理を行うことで、火災防止等に一役買っています。法規面でも2026年7月1日施行の中国GB規格に含まれるバッテリー関連規制案で、これまでの火災遅延時間を5分から2時間に伸ばして、安全性向上と信頼性確保を促進するなど、熱マネジメント技術のさらなる進化・深化が求められています。
上記のように、熱マネジメントは、システム効率性の向上のみならず、安全性確保にもつながる重要な技術といえます。FOURINでは、電動車部品シリーズとサプライチェーン調査報告書第4弾として、『熱マネジメント』を発刊します。これまでの部品シリーズと同様に、部品分野ごとに全体像と主要キープレイヤーの把握、今後のトレンドの注目ポイントを詳報することを目的としており、自動車部品業界の深掘り調査への足がかりのほか、横につながっている関連業界の現状の把握と理解、今後の関連業界の動きに対応する戦略において重要な調査報告書になることを確信いたします。
本調査報告書では、熱マネジメント業界(Tier1、Tier2サプライヤー等)、関連構成部品・素材業界の調査・分析を行います。また、業界関係者からの取材やヒアリング等をもとに、業界の課題や今後の方向性など、現実路線での業界を詳報します。自動車及びバッテリーサプライヤーなど、今後の電動化分野における予測・判断材料として、当報告書をご活用いただければ幸いです。