資本再設計と「クルマ✖️ソフト✖️都市」で進むモビリティ企業化
2026年4月1日より、トヨタは新経営体制に移行します。社長・CEOに近健太氏が就任し、佐藤恒治社長は副会長兼Chief Industry Officer(CIO)に就任します。佐藤氏が産業全体での推進役や関係強化を担い、近氏が社内経営を主導する新体制となり、トヨタGr.全体のビジョンを描く豊田章男会長とのトライアングルで、モビリティカンパニー化を更に進めていくことになります。
近氏はトヨタにおいて、豊田章男社長の下で副社長として財務面から経営を支え、更にWoven by Toyota(WbyT)のCFOとしてWoven CityやArene開発など次世代事業を推進してきました。2025年にはトヨタ本体のCFOにも就任し、豊田自動織機の非公開化を含む資本再編を主導するなど、グループの資本戦略を担っています。また戦略投資会社「トヨタ・インベンション・パートナーズ」のCEOも兼任し、スタートアップ投資を通じた新事業創出にも関与してきました。まさに財務戦略のプロとして、2026年度以降はこれまで佐藤体制で行ってきた成長投資の成果を刈り取っていくことになります。近新体制では、グループ全体の資本配分の最適化と意思決定の迅速化を同時に進めることが期待されています。
2030年以降を見据え、トヨタGr.は「モビリティ(トヨタ)」「ソフト(WbyT)」「都市(トヨタ不動産)」の三本柱で成長を目指す見通しです。近新社長の下では、これまでの製品・技術主導の経営から財務・投資配分を重視した経営へ軸足が移り、先行投資の成果を収益として回収する段階に入ることになります。更にWoven Cityを中心とした次世代事業への投資を通じ、トヨタのモビリティカンパニー化は一段と加速すると予想されます。加えて近氏はトヨタ不動産やWbyTなど複数の中核組織に関与しており、資本・都市・ソフトを横断した意思決定を担う存在として、グループ全体の戦略統括を担う役割も期待されています。
本レポートでは、トヨタの近新社長の下で進むグループ資本再設計や構造転換とともに、「SDV」「Woven City」「電動化」「製品戦略」「生産技術」の5つの視点で、課題と新体制下での展望をまとめました。不確実性がますます強まる中で、トヨタの「変化に強い」経営体制の構築に向けた取り組みを、独自の視点で分析しております。自動車業界を牽引しながらも、産業を超えた事業展開を目指すトヨタの方向性が、新たな成長戦略を描くための重要な参考となれば幸いです。