急激な環境変化の中で迫られる新世代BEV製品投入
2022年10月末現在、トヨタのBEV戦略は大きな岐路に立っています。トヨタは近年、経営の迅速化を図り、組織・人事体制を簡素化したほか、経営計画についても状況に応じ順次修正していく考えの下、数ヵ月単位で戦略の再検討を行ってきました。2021年12月には、「バッテリーEV戦略に関する説明会」を実施し、実用化を視野に入れている新世代BEV16モデルを一斉披露するとともに、数ヵ月前に上方修正したばかりのBEVや駆動用電池の事業計画を更に上方修正しています。更に2022年10月には、BEV事業計画の更なる見直しを検討しているとの情報が、一部メディアによる関係者への取材ベースの情報として報じられています。BEV計画見直しの動きは、トヨタの変化に対し迅速かつ柔軟に対応する姿勢を評価できる一方で、BEVの世界的な需要や競合他社のBEV製品開発・生産能力や製品競争力の現状や見通しについて、十分に把握・予測しきれていないことを示しています。世界有数の事業規模を持つトヨタがスピーディな経営判断や戦略修正・転換を実行していくことは、社内外に多大な影響を及ぼします。トヨタが掲げる「アジャイルな経営」によるBEV戦略の修正がトヨタにとって強みとして出るのか、それとも社内や取引先の混乱をもたらす面が強く出るのかが注目され、トヨタにとって大きな挑戦となります。
当レポートは、トヨタのxEV戦略全体を踏まえながら、BEV世界戦略を製品・開発・調達・生産・販売の各視点で調査・分析いたします。数ヵ月単位で再検討が行われるトヨタのBEV戦略の方向性と、戦略見直しの根底にあるトヨタの考え方を分析・評価するとともに、BEV事業の強みと弱み、チャンスと課題について評価・分析いたします。また直近で投入された新世代BEVの特徴や性能を基に、今後投入が予想される新型BEVについても展望します。経営の最重要課題となるカーボンニュートラルやサスティナビリティにおけるBEVが持つ意義の高まりについてもレポートいたします。
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