コロナ危機の打開とポストコロナを見据えた戦略
COVID-19のパンデミックの影響で、自動車業界全体が未曽有の危機に直面していますが、VWにはコロナ禍で事業を維持するための十分な資金力があります。資金の流動性に加え、製品ポートフォリオ、製品技術力や販売力において、競合他社よりも優位であり、中国への販売依存度の高さが、コロナ終息後の回復、その後の成長回帰にとってアドバンテージになります。
VWはHerbert Diess現グループCEO就任後、BEVの普及でより野心的な目標を設定し、BEVへの注力を加速しています。2020年に投入するID.3では、TCO(総保有コスト)で標準的なディーゼル車と同等の水準を実現できています。BEV中心の生産になっても十分な利益を確保できるよう、リストラや、生産性改善に向けた工場のオートメーション化推進、デジタルネットワーク化に取り組んでいます。
VWはBEVのドライブトレインの自社開発、内製を重視していますが、将来的に製品競争焦点がデジタルサービスにシフトすることを想定し、ソフトウェアの内製を強化しています。ID.3向けから内製のOSの採用を拡大する方針ですが、マンパワーとノウハウの不足やコロナの影響もあり、開発が遅れています。VWの成長戦略において、ソフトウェア技術力をどう高めるかが大きな課題になります。
ライフサイクルアセスメントの重要性が高まる中で、VWはBEVへの注力だけでなく、再生可能エネルギーにより生成するeFuelの普及に向けても地道に取り組んでいます。また電動車技術では、HEV、FCEVを含め全方位での開発を継続しています。
本調査報告書では、コロナ禍からの回復から成長回帰、長期展望までに焦点を当て、VWの戦略を徹底分析しています。自動車業界でベンチマークとなり得るVWの戦略の評価や、VWとのビジネス拡大に向けた情報収集などで、当報告書をご活用いただけますと幸いです。
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序章 |
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ポストコロナを見据えた戦略
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第1章 |
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事業計画と長期成長展望
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◇ | 2025年戦略目標に向け前進 |
◇ | LCV事業の競争力強化を目指し、Fordと戦略提携 |
◇ | VWの競争優位性と今後の課題 |
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第2章 |
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技術戦略と先行技術開発体制
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◇ | BEV専用アーキテクチャとEドライブユニットをグループ内で開発、 社内外での採用拡大を想定 |
◇ | カーボンニュートラル化に向けた包括的な取り組み |
◇ | 再生可能エネルギーによる燃料生成、 内燃機関の搭載継続や長期的なFCEVへのシフトの可能性も想定 |
◇ | 成長戦略としてソフトウェア内製拡大を方針化、 コネクテッド/モビリティサービスを新ドメインとして育成 |
◇ | 生産デジタル化、工場ネットワーク化による生産効率向上 |
◇ | 車両デザインやアセンブリーレイアウトにVR手法を活用、 ADASのバーチャルシミュレーションソフトを開発 |
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第3章 |
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購買戦略とサプライチェーンマネージメント
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◇ | 戦略パートナーネットワーク構築により、技術力強化とコスト力向上を両立 |
◇ | 次世代E/Eアーキテクチャやコネクテッドサービスプラットフォームの開発協力 |
◇ | 電動車部品中心でも利益を確保できる体制への移行 |
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第4章 |
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グローバル事業戦略 |
◇ | SUVシフトで中国販売首位維持、 NEV供給体制整備やデジタルサービス強化でさらなる成長拡大目指す |
◇ | SUV(CUV)へのシフトにより米国で販売上向き、 パワートレインの現地化を推進しBEVの生産も計画 |
◇ | MQBベースの戦略モデル投入、SUV現地化でブラジル市場シェア回復 |
◇ | リストラでロシア事業の収益好転、生産車種の追加やパワートレイン現地化の推進を計画 |
◇ | MQB A0ベースの製品投入でインド事業を立て直し、Skodaが主導 |
◇ | 従来の自動車ビジネスにモビリティサービス事業を加え、 サブサハラ市場での採算確保を模索 |
◇ | 欧州ではコロナ後も市場シェア高位安定、 ID.シリーズからオンライン販売/サービスを本格化 |
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第5章 |
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VWグループの生産/開発体制、生産/販売計画
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◇ | BEV生産能力の増強と、BEV生産中心でも利益を確保できる体制の構築 |
◇ | AudiがVWグループのR&Dを主導する役割を明確化 |
◇ | グループ小型自動車販売台数は長期的に1,300万台まで拡大、 2020年代後半にBEVシフト急加速 |