資源高騰の逆風の中でも加速する新世代BEV製品投入
脱炭素への取り組みがグローバルで求められる中、国内外の自動車メーカー各社は脱エンジンへの長期方針を相次いで表明しています。そうした中、トヨタは2021年12月の「バッテリーEV戦略に関する説明会」において、「2030年にグローバルでBEV30車種投入/350万台販売」、「Lexus車で2030年に欧米中でのBEV比率100%/2035年に全世界で100%」などの方針を表明すると共に、新型BEV16車種を量産車に近いデザインで披露しました。これらの新型BEVは2020年代には概ね市場投入される計画であり、今後2~3年でトヨタのBEVラインアップは全カテゴリーフルラインナップへ大きく近付きます。一方でトヨタは電動車全方位戦略を堅持する意向であり、世界の地域ごとに最適解が異なる中で、HEV/PHEVやFCEVにも引き続き注力する考えです。また直近の2022年度3月期決算発表時に、Chief Technology Officerである前田副社長は、「BEVの加速度が非常に上がっていると感じる」とする一方で「不安要素も沢山あり、資源高騰がより大きく出る傾向がある」と述べており、厳しい事業環境の中でも当面はBEV戦略を加速する考えを改めて表明しています。
当レポートは、トヨタのBEV世界戦略を製品・開発・調達・生産・販売の各視点で調査・分析いたします。事業環境の急激な変化に対応するため、HEVで培ってきた技術をフル活用しながらも、限られた経営資源の中で電動車全方位戦略を維持するための開発・生産戦略や、特にBEVでは自動車他社との連携を生かした効率的な開発・調達戦略を分析するほか、BEV戦略説明会で発表した新型BEV10数車種の特徴と性能についても展望します。その他、直近の半導体不足や資源高など厳しい事業環境を受けた調達方針、次世代BEVの性能ブレイクスルーに向けたキー技術、BEVを生かした新サービスなど、様々なテーマでBEV戦略を調査・分析いたします。
本案内書をご高覧頂き、関係部署とも相談の上、ご採用賜りますようお願い申し上げます。
※ 画像をクリックすると大きいサイズでご覧になれます。
▼1章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 序論 |
|
トヨタのxEV世界戦略
|
|
・ HEV/PHEV開発の歴史 |
: Priusプロジェクト始動、初代PriusでフルHEVによる電動車戦略本格化 | |
: 第2世代Prius以降、THSの既存モデルへの採用拡大 | |
: 第3世代PriusシステムをベースにPHEV開発、LPG HEVシステムもTHSベースに開発 | |
: 第4世代PriusでTHS別軸化し搭載性向上、全モデルHEV設定有りへと展開拡大、 PHEVラインアップ拡充 | |
: 第5世代システムの頭出しは新型Noah/Voxy | |
: 新世代PriusはPHEVメインに移行、多様なパワートレイン搭載車へと進化 | |
・ FCEV開発の歴史 |
: BEVと同様に1992年のEV開発部設置以降、開発本格化 | |
: 1996年にFCEV-1を開発、以降改良を重ねる | |
: 2014年12月に初の量産FCEV MIRAIを投入 | |
: 2020年12月の第2世代MIRAIで航続距離3割向上 | |
・ 地域別xEV販売実績と製品投入戦略 |
: 2021年は日米欧亜の各地域で電動車販売50万台超え | |
: グローバル電動車比率は3割弱まで上昇、全地域で軒並み2ケタ台 | |
▲序論へ / ▼2章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第1章 |
|
BEV戦略を取り巻く環境(環境規制強化と競合他社の投入活発化)
|
|
・ 燃費・排ガス規制導入スケジュール | |
・ 主要各国の電動車促進策(脱内燃機関方針の現況ほか) | |
・ 2020年代に入り世界各社のBEV投入活発化 |
: 高効率化への開発競争激化。電池性能、熱マネなど追求 | |
▲1章へ / ▼3章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第2章 |
|
主BEV世界戦略
|
|
・ BEV開発の歴史 |
: 1992年にEV開発部を設置し、BEVやFCEV本格開発着手 | |
: 米国ZEV規制厳格化、中国NEV規制導入への対応からBEV量産化に着手しUX300e、 C-HR EV等を中国ほかに展開 | |
: 2020年末の超小型BEV C-PodでBEVの市場性を幅広く検証 | |
: 2022年以降、BEV専用PFベース車を順次投入 | |
・ BEV投入戦略と世界展開戦略 |
: 地域別投入方針、時系列軸の投入戦略 | |
: 2030年ZEV販売目標を200万台から350万台に上方修正 | |
: 欧米中対応でLexus100%BEV化方針の一方、開発効率化を背景に 電動車全方位戦略を維持 | |
: BEV開発効率化へ他社との緩やかな協業を拡大、自前にこだわらない 技術・製品拡充も推進 | |
: BEV+αの新事業戦略(自動運転、MaaSなど) | |
▲2章へ / ▼4章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第3章 |
|
新世代BEVの投入展望
|
|
・ BEV専用PF採用の新世代BEVの投入展望と性能予測 |
: 2020年代中盤までに投入予定の次世代BEV十数モデルの概要と性能予測 | |
: 主要地域別BEVラインアップ・販売台数予測 | |
・ 電動基幹部品の性能予測と次世代技術 |
: モーター(HEVと共有、コストと性能バランスで競争優位、機電一体化推進) | |
: インバーター(HEV技術を活用しつつBEV専用設計、SiC採用拡大) | |
: バッテリー(全固体電池開発推進、パナソニックをメインパートナーとしながら 協業先拡大、調達量確保が課題) | |
・ 電動基幹部品の調達先 |
: トヨタ系中心だが一部部品で系列外から補完、「ホーム&アウェイ」で各社の強みを集約 | |
▲3章へ / ▼付録へ | ▲PAGE TOP |
![]() 第4章 |
|
カーボンニュートラル戦略におけるBEVの位置付け |
|
・ トヨタの脱炭素経営戦略 | |
・ BEV普及への取り組み方針、BEV利活用戦略 |
: 新しい売り方、サーキュラーエコノミー追求ほか |
▲4章へ | ▲PAGE TOP |
![]() 付録 |
|
トヨタの主要電動車製品投入実績と計画(系統図)
|
<用語の説明(アルファベット順)>
HEV |
: | Hybrid Electric Vehicle、 | PHEV |
: | Plug-in Hybrid Electric Vehicle、 | |
FCEV |
: | Fuel Cell Electric Vehicle、 | DE |
: | Diesel Engine、 | |
EV |
: | Electric Vehicle、 | NEV |
: | New Energy Vehicle、 | |
THS |
: | Toyota Hybrid System、 | ZEV |
: | Zero Emission Vehicle |