先行き不透明感増す世界EV市場と蓄積された潜在代替需要の向かう先

世界自動車産業は2020年以降、コロナ禍による市場の落ち込み、半導体不足による減産に伴う在庫不足、ロシア-ウクライナ戦争による影響などに苦しんできました。2023年の世界87ヵ国自動車市場は、前年比7.4％増（600万台増）の8,650万台となる見通しです。過去数年間の市場の落ち込みによる潜在需要もあり、特に欧米先進国で市場回復が鮮明となりました。新興国は、世界最大の中国市場が2,500万台前後で横ばいとなりますが、インド市場の拡大、中東欧市場の回復が下支えし、成長を維持した形となっています。一方で、2019年実績比でみると、先進国市場は1割減（500万台減）と依然としてコロナ禍前の水準を下回る状況にありますが、新興国市場は微減（50万台減）にまで回復しています。各国・地域で状況は違うものの、先進国市場はコロナ禍前の水準に向けた回復、新興国市場は新たな需要の創出や規模拡大などが今後の注目点となると考えられます。

FOURINでは、2024年に8,850万台規模、2025年に9,200万台規模、2026年に9,500万台規模へと拡大していくと予測します（2023年12月時点）。世界的に大きな市況変化がなければ、世界自動車販売台数は、2027年にも過去最高の2017年実績（9,620万台）を上回る可能性があります。2024年以降の世界市場拡大のカギは、アジア新興国、中近東、中南米諸国の回復・成長にあるとみています。2024年1月には、BRICS（ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア）に、エジプトやイラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦（UAE）などが加わります。国内の政治環境・状況・背景、経済状況を含め、各国の連携においては未知数となる領域も多いですが、拡大BRICSの世界に占めるGDPは約3割、人口は4割超に達します。政治的な発言力の強化に加え、各国市場の成長を促す原動力、きっかけとなる要素があるため、自動車販売への影響にも注視する必要があります。

『世界自動車統計年刊2024』は、世界80ヵ国以上の国の生産・販売・輸出等基礎統計と自動車政策、経済状況を取りまとめ、国別に2023年の自動車市場や生産の状況を解説し、将来の展望を報告。また世界主要地域・国の電動車販売台数を中心に関連統計を整理し解説します。

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